開催報告:2024年度2月研究例会(第226回オペラ研究会)
- 日 時:2025年2月1日(土)16:30-18:00
- 場 所:Zoom配信
- 発表者:葛西周(京都芸術大学)
- 題 目:『温泉地における劇場文化の成立とレビュー形式の展開:「観光音楽劇」論に向けて』
- 言 語:日本語
- 司会者:山田小夜歌
発表概要:
本発表は、「観光音楽劇」について議論する糸口として、日本の温泉地におけるレビュー形式のショーをジャンル横断的に検討する。宝塚歌劇や劇団わらび座を挙げるまでもなく、各地の温泉で音楽劇が上演されてきたことは自明であり、それぞれの事例の作品や上演団体に関しては研究が進められている。他方で、それらの実践を包括的に扱う視座は、従来の研究にほとんど見られなかった。しかし近年、演劇学分野では、演劇と観光の相関を捉え直す観光演劇学のアプローチが活発化している。音楽学分野では、たとえばテュービンゲン大学共同センターでイギリスの公衆浴場・温泉街を対象としたプロジェクトが展開されており、上演の場としての温泉地を論じる機運は高まりつつある。そこで本発表では、まず音楽学・演劇学の双方における「観光音楽劇」論の前提となるような研究動向を確認する。その上で、少女歌劇・大衆演劇・バラエティショー等の実践事例から、多ジャンルの音楽が交差し異なる属性・関心・音楽経験を持つ人々が演者・観客として相互作用する場として、温泉地の劇場文化が歴史的に果たしてきた役割を考察する。
<発表者プロフィール>
京都芸術大学芸術学部専任講師。東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程修了。博士(音楽学)。専門は日本近現代音楽史。早稲田大学高等研究所講師等を経て現職。共著に細川周平編『音と耳から考える:歴史・身体・テクノロジー』(アルテスパブリッシング、2021年)、永冨真梨・忠聡太・日高良祐編『クリティカル・ワード ポピュラー音楽 :〈聴く〉を広げる・更新する』(フィルムアート社、2023年)など。近年は特に、温泉地で歴史的に実践されてきた音楽・芸能をテーマとしている。
司会者:山田小夜歌
コメント:21名の参加者があった。
問合せ先
早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)