開催報告:2024年度7月研究例会(第221回オペラ研究会)
- 日時:2024年7月13日(土)16:30 – 18:00
- 場所:ハイフレックス形式(対面とZoomによるオンラインの併用)
- 対面会場:早稲田大学 早稲田キャンパス3号館406教室
- 発表者:加藤恵哉
- 所属:東海大学
- 題名:『ワーグナー「ファルーンの鉱山」におけるE.T.A.ホフマンの影響とドイツ的要素導入の試み――ワーグナー『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』と比較しつつ』
- 言語:日本語
概要:
リヒャルト・ワーグナーは『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』の創作と前後し、作品のアイデアをいくつかの草稿にまとめた。その1つであり作品化の機会に恵まれなかった『ファルーンの鉱山』は、地下の異界とそれを取り巻く人間社会という舞台設定が『タンホイザー』と共通しており、なおかつ『ファルーンの鉱山』はE. T. A.ホフマンの小説、『タンホイザー』はルードヴィヒ・ティークおよびホフマンの小説を下敷きに書かれていることから、どちらもロマン主義の小説作品の影響を強く受けていると言える。本発表は『ファルーンの鉱山』、そのモチーフとなったホフマンの同名の小説、ならびに『タンホイザー』のテクストを比較しつつ、共通した特徴を持つ2作品のうち『タンホイザー』のみ脚本を完全な形で仕上げ、オペラ作品として完成させたワーグナーの意図はどのような点にあったと言えるか、そして『ファルーンの鉱山』の創作の試みが『タンホイザー』や他の作品に与えた影響があったとするならばそれは何であったかという問いに焦点を当てる。また、ワーグナー研究において顧みられる機会の少ない『ファルーンの鉱山』の研究意義の考察を試みる。
発表者プロフィール:
1988年静岡県生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学、2021年3月に博士(文学)学位取得。現在、東海大学ほか非常勤講師。研究テーマは、リヒャルト・ワーグナーによる19世紀の諸思想の受容と作品内における表現。主な論文に、「ワーグナー『ニーベルングの指環』初期構想と作中の為政者像の変遷」(『上智ヨーロッパ研究』第11号)、「ワーグナー『恋愛禁制』におけるイザベラ ─シェイクスピア作品の翻案とラウベからの思想的影響─」(『上智ヨーロッパ研究所』第14号)などがある。
司会者 : 北川千香子
コメント:24名(会場11名、オンライン13名)の参加者があった。
問合せ先
早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)