開催報告:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所 2023年度10月研究例会
▼2023年度10月研究例会(第213回オペラ研究会)
- 日 時:2023年10月7日(土)16:30 – 18:00
- 開催方式:オンライン開催(Zoom使用)
- 発 表 者:森本 頼子
- 所 属:名古屋音楽大学
- 題 名:「『ロシア大歌劇団』からメトロポリタン・オペラへ――メゾ・ソプラノ歌手ブルスカヤ(1886-1954) のオペラ活動の足跡」
- 発表言語:日本語
- 概要:
ブルスカヤ Ina Bourskaya(1886-1954)は、 1923 年にニューヨークのメトロポリタン・オペラにデビューし、 1937 年まで《カルメン》のタイトル・ロールや、数多くのロシア・オペラのヒロインなどを務めたメゾ・ソプラノ歌手である。ウクライナ(当時は帝政ロシア)に生まれたブルスカヤは、ロシア各地でオペラ歌手として活躍したのちに、L. フョードロフが率いる「ロシア大歌劇団」に加わって亡命し、日本をはじめとする極東各地を巡業した。一座が 1919 年と 21 年に巡業した日本では、「カルメン歌い」として名声を博すとともに、ロシアから彼女を追いかけてきたロシア人青年が日本で自殺するというスキャンダルも相まって、世間の大きな注目を集めた。これらの点でブルスカヤは、日本初の「外国人オペラ・スター」の一人になったとみなすこともできる。本発表では、ブルスカヤが渡米前の「ロシア大歌劇団」時代にどのようなオペラ活動をしたのかを、ロシア、日本、中国、アメリカなどに残る資料をもとに読み解く。亡命ロシア人がオペラの世界で大成した足跡をたどりつつ、日本がその舞台の一つとなったことを浮かび上がらせたい。
- 発表者プロフィール
愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程(音楽学専攻)修了。博士(音楽)。現在、名古屋音楽大学、金城学院大学、愛知県立芸術大学、各非常勤講師。専門は、西洋音楽史、ロシア音楽史など。おもな著書に『上海フランス租界への招待――日仏中三か国の文化交流』(共編著、勉誠出版、 2023 年)、『音楽と越境――8 つの視点が拓く音楽研究の地平』(編著、音楽之友社、 2022 年)、論文に「『ロシア大歌劇団』の日本巡業(1919、 21 年) ――関西公演に注目して」(『セーヴェル』第 39 号、 2023 年)などがある。
- 司会者 : 山田 小夜歌
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