グルック・シンポジウム:オペラ《オルフェーオとエウリディーチェ》とその周辺
オペラ・アリアの実演付き
開催報告
本シンポジウムでは、バロック・オペラから近代的なオペラへの転換期において、オペラ改革を行った作曲家として知られるC.W.グルックを台本・バレエ・改革オペラ・パスティッチョ・映像といった多方面からのアプローチから提示した。また、各部の最後に青木洋也・澤江衣里・中谷路子により、発表内容に関する演奏をおこなった。本シンポジウムの成果は以下の3つである。
①1つのオペラ作品をジャンル横断的、その後の受容も含めて接うことにより、作曲一上演といった単純な図式でなく多層性をもって扱う重要性を来場者とも共有できた。
②研究発表に関連する演奏を連動させておこなったことにより、発表内容がより充実するだけでなく、研究によって通常レパートリーにない楽曲の演奏譜作成をおこない、レパートリーの拡大に貢献できた。
③コロナ禍ということもあり、会場とオンラインのハイブリット開催をおこない、大勢の参加者を得られた。特にオンラインでの同時開催は遠方からの多く参加が得られ、開催後のアンケートでもそれが裏付けられた。ハイブリツト開催は経費も準備の手間も格段にかかるが、開催側にとっても参加者にとってもメリットが大きい。このような形態を取ることができたのは、助成金のお蔭であり、感謝申し上げる次第である。
趣旨
早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所「バロック・オペラ」ワーキンググループ企画によるシンポジウムの第2回として、クリストフ・ヴィリバルト・グルック (1714-1787)を取り上げます。グルックはバロック・オペラから近代的なオペラへの転換期において、オペラ改革を行った作曲家として知られます。なかでも改革オペラの第1作にあたる《オルフェーオとエウリディーチェ》 (1762)は、台本やバレエにおける変革の動きと強い結びつきがあるだけでなく、初演後ヨーロッパ各地において様々に改変された形で上演されたことにより、多方面からのアプローチが可能な作品といえます。
シンポジウム前半では、《オルフェーオとエウリディーチェ》の作品概要およびオペラ改革の概略を明らかにした上で、台本・バレエから見た位置づけを検討し、さらに本作初演の前後に上演されたグルック作曲による他のオペラの二つの版を比較考察します。後半では、同時代のドイツ、イギリス、ロシアにおける《オルフェーオとエウリディーチェ》上演を取り上げ、最後に現代における作品受容としてオペラ映画を扱います。演奏による解釈も交えつつ、パネリストがそれぞれの視点で考察し、改革オペラを多角的にとらえ直す場を提供することを目指します。
企画:大河内文恵(バロック・オペラWG代表)
開催概要
- 日 時:2022年12月18日(日) 13:15-19:00(開場13:00)
- 会 場:早稲田大学早稲田キャンパス小野記念講堂
- 主 催:早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
- 後 援:早稲田大学総合研究機構
- 題 目:オペラ/音楽劇研究所シンポジウム
グルック・シンポジウム:オペラ《オルフェーオとエウリディーチェ》とその周辺
発表者
- 坂巻彩華:オルフェーオとエウリディーチェ》の作品概要 ~「改革」の背景と18世紀における上演をめぐって
- 大崎さやの:オルフェーオをめぐるテクストの変遷 ~イタリアの演劇作品とオペラ台本を例に
- 森立子:18世紀のバレエ改革とグルック
- 萩原里香:オペラ改革の前と後 ~ 《エツィオ》2つの版の比較を通して
- 大河内文恵:グルック《オルフェーオとエウリディーチェ》のドイツ上演をめぐって
- 吉江秀和:グルック《オルフェーオとエウリディーチェ》 ~1770年代のロンドン上演をめぐって
- 森本頼子:18世紀ロシアにおける改革オペラ上演 ~宮廷劇場と農奴劇場を中心に
- 荻野静男:グルック《オルフェーオとエウリディーチェ》の映像作品について
- コメンテイター:江口大輔
演奏曲目
《エツィオ》 (1764)より
- 第1幕最終場 二重唱 “Va, ma tremo al tuo periglio”
- 第3幕第3場 エツィオのアリア “Se il fulmine sospendi”
- 第3幕第9場 フルヴィアのアリア “Ah non son io, che parlo”
《オルフェーオとエウリディーチェ》
ロンドン上演版(1770)より
- 第1幕第5場 エウリディーチェのアリア “Obliar l’amato sposo”(J.C.Bach作曲)
ウィーン上演版(1762)より
- 第3幕第1場 二重唱 “Vieni appaga il tuo consorte”
- 第3幕第1場 エウリディーチェのアリア “Che fiero momento”
- 第3幕第1場 オルフェーオのアリア “Che farò senza Euridice?”等
▮演奏者:青木 洋也(カウンターテノール)、澤江 衣里(ソプラノ)、中谷 路子(ピアノ)
参加申込み (現在は終了しております。)
本シンポジウムは会場とオンラインのハイブリッドでおこないます(ともに無料)。会場参加の場合にもオンライン参加の場合にも12月15日までに参加登録をお願いします。どなたでも参加できます。
・参加登録フォーム
アクセス
▮JR山手線/西武新宿線:高田馬場駅より徒歩20分 地下鉄東京メトロ東西線:早稲田駅3b出口より徒歩5分
東京さくらトラム(都電荒川線):早稲田駅より徒歩5分 都営バス:早大正門前停留所より徒歩1分
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問合わせ
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