Research Theme 研究テーマ
朝鮮文化研究所は、2000年度に最初のプロジェクト研究所を立ち上げて以来、古代史分野では、韓国における出土文字資料に関する最先端の研究を展開してきた。また近現代史分野では、植民地主義の克服を目指し、東アジアの和解のための歴史認識問題に取り組んできた。日本における朝鮮史研究、朝鮮文化研究の振興を目的とする本研究所では、これまでの活動実績をふまえ、今後5年間において、主に以下の2つのテーマを軸とした研究にとりくむ。
① 朝鮮史を中心とする東アジア史構築のための基礎研究
② 日本における朝鮮学の国際化
Research Director 所長
Member メンバー
- 植田 喜兵成智 文学学術院文学部講師(テニュアトラック)
- 柿沼 陽平 文学学術院文学部教授
- 川尻 秋生 文学学術院文化構想学部教授
- 金 敬黙 文学学術院文化構想学部教授
- 田中 史生 文学学術院文学部教授
- 劉 傑 社会科学総合学術院社会科学部教授
- 澤本 光弘 株式会社群企画
- 鄭 榮蘭 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員
- NANTA, Arnaud フランス国立科学研究センター一級研究担当官(准教授)
- 洪 性珉 東国大学校非常勤講師、全北大学校非常勤講師
- 三ツ井 崇 東京大学大学院総合文化研究科教授
研究キーワード
朝鮮史 朝鮮文化 朝鮮学 東アジア史 出土文字資料
研究概要
日本における朝鮮史研究、朝鮮文化研究の振興を目的とする本研究所は、朝鮮の文化と歴史を探求し、新たな歴史像を提起するため、次の2つのテーマを軸に研究を推進する。
① 朝鮮史を中心とする東アジア史構築のための基礎研究
朝鮮は、東アジア世界を理解するために重要な地域であり、また東アジア世界のなかで朝鮮を歴史的に位置づける作業は必要不可欠である。本研究では、朝鮮を軸とした東アジア史像の構築を目指す。また韓国朝鮮・日本・中国の歴史認識に関する「和解」・相互理解を推進するためには、その土台として東アジア次元で共有できる歴史を構築していく必要がある。そこで、その基礎的な作業として、主に次の4つのトピックを研究したい。
(A)出土文字資料からのアプローチ、(B)人の移動からのアプローチ、(C)史学史的アプローチ、(D)周辺地域との接触・衝突からのアプローチである。
(A)は、朝鮮半島に関わる出土文字資料から朝鮮古代史、古代東アジア史を解明するためのアプローチである。朝鮮半島に関わる文字資料として木簡、石刻などの資料は、日本・韓国・中国など国内外に多数所在している。主に韓国の研究機関などに所蔵されている文字資料を調査し、現地研究者との共同研究も進める。また国内には、戦前に朝鮮・中国で製作された石刻の拓本があり、これらの古拓本の調査も行う。(B)は、移住民、移民、遺民などの人の移動から朝鮮半島と東アジアをとらえる試みである。人の移動こそは、一国史ではなく超地域的な視角からの分析が求められる。(C)は、戦前・戦後(解放前・解放後)の朝鮮史研究を史学史に分析する。(D)は、日本・中国王朝との交渉や、契丹・女真などの東北アジア諸勢力との関係を分析する。
② 日本における朝鮮学の国際化
日本の朝鮮学は、量的には活況とはいえないまでも、質の高い研究成果が積み上げられてきた。しかし、現在では、国際発信力の不足から世界的な認知度は低下している。本研究所が中心となって、国内外の研究機関や学会と連携して国際ワークショップや学術交流会を開催することで、日本の朝鮮学のプレゼンスを高めたい。