Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

News

ニュース

開催報告:オペラ/音楽劇研究所:2025年度5月研究例会(第228回オペラ研究会)

開催報告:2025年度5月研究例会(第228回オペラ研究会)

  • 日 時:2025年5月10日(土) 16:30~18:00
  • 場 所:Zoom配信
  • 発表者:大崎さやの(東京藝術大学)辻 昌宏(明治大学)大河内文恵(東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校)森本頼子(名古屋音楽大学)吉江秀和(杏林大学)森佳子(早稲田大学)
  • 司会者:森立子(日本女子体育大学)
  • 言 語:日本語
  • 主 催:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
発表要旨

『バロック・オペラとギリシア古典』は、2021年に開催したシンポジウムの研究発表をもとにした5編に書き下ろし1編を加えた論文集である。イピゲネイアは古代ギリシアの悲劇詩人エウリピデスの2編の悲劇の主人公として知られ、さまざまに翻案された後、ラシーヌの悲劇の成功により多くのオペラ作品で取り上げられた。本書では、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、イギリスの各地域において上演されたイピゲネイア主題、またはギリシア古典を主題とするオペラを、各地域の研究者が台本面、音楽面、上演面などから分析し、時代的な特徴や上演場所の地域性との関連を考慮に入れつつ検討した。以下が各論文の著者、題名、要旨である。

大崎さやの「イピゲネイア主題の18世紀のオペラ台本―ローマ、ウィーン、ヴェネツィア、ロンドン、パリで上演された台本を例に」
ギリシア悲劇に登場するイピゲネイアを主人公にヨーロッパ各地で書かれたオペラ台本を分析し、個々の特徴を述べた。

辻 昌宏「祝婚オペラとしての《シーロのアキッレ》」
メタスタージオ台本のオペラ《シーロのアキッレ》の生まれるきっかけと、その後、そのリブレットが初演とは異なる作曲家たちによって様々な機会に作曲された経緯と、バージョンによる主要な相違を明らかにし、祝婚オペラというカテゴリーを提唱した。

大河内文恵「18世紀のベルリンにおけるギリシア悲劇を題材とするオペラ:C.H.グラウンの2つの《イフィゲニア》を例に」
1728年ブラウンシュヴァイク、1748年ベルリンで上演されたグラウンの《イフィゲニア》を比較し、音楽史上の意義を考察した。

森本頼子「18世紀ロシア宮廷におけるオペラ・セーリア上演の実態:ギリシア悲劇を原作とした作品に注目して」
ラウパッハ、ガルッピ、トラエッタ作曲のギリシア悲劇主題のオペラを取り上げ、オペラ文化黎明期のロシアにおけるオペラ上演の一端を明らかにした。

吉江秀和「ヘンデルのギリシア悲劇に基づくオペラ《オレステ》の上演をめぐって」
《オレステ》は上演回数の少なさとパスティッチョを理由に低く評価されることが多い。本発表ではヘンデルが自身の劇団の歌手の技量を示すべくこの作品を上演した可能性を指摘する。

森佳子「グルックの《オリドのイフィジェニー》と《トリドのイフィジェニー》:新たなトラジェディ・リリックの誕生」
パリ・オペラ座で初演されたグルックの二つのオペラにおける、「観客の演劇的関心を逸らさない」ためのアプローチの違いについて明らかにした。

コメント:30名の参加があった。

問合せ先

オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/

e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)

発表者プロフィール

大崎さやの
東京藝術大学ほか非常勤講師。イタリアの文学と演劇の研究。博士(文学、東京大学)。著書に『啓蒙期イタリアの演劇改革』(単著、東京藝術大学出版会、AICT演劇評論賞、河竹賞奨励賞)他。

辻 昌宏
明治大学教授。リブレット、イタリア詩、英詩研究。アリアを詩として読み解き、それが音楽とどう融合し、相乗効果をあげてきたかを研究している。近年は、宮廷文化についても探っている。

大河内文恵
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校非常勤講師。博士(音楽学)。18世紀から19世紀前半までのドイツでのオペラを主に研究。主な著書『バロック・オペラとギリシア古典』(共著、論創社、2024年)など。

森本頼子
名古屋音楽大学、金城学院大学、愛知県立芸術大学、各非常勤講師。専門は西洋音楽史、ロシア音楽史など。著書に、『シェレメーチェフ家の農奴劇場:18世紀ロシアのオペラ文化史』(道和書院、2024年)他。

吉江秀和
杏林大学ほか非常勤講師。研究分野は18世紀ロンドンにおける音楽受容。これまで古楽アカデミー等の“古楽”分野の演奏会活動を軸に研究を進め、近年はイタリア・オペラ作品の上演背景を探る調査をおこなう。

森佳子
早稲田大学ほか非常勤講師。専門は音楽学。17世紀から19世紀までのフランスのオペラに関する研究を行う。18世紀フランスのオペラ論争やオペラ=コミック、19世紀のグランド・オペラなどに関心がある。

Dates
  • 0510

    SAT
    2025

Place

Zoom配信

Tags
Posted

Mon, 12 May 2025

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/cro/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる