研究キーワード
研究概要
長江流域文化研究所は 2000 年に設置され、2020 年 3 月まで工藤元男所長が牽引してこられた研究所です。その課題は、「中国文明」と長江流域文化の関係を探るものでした。すなわち古代東アジア世界は、黄河流域の「中国文明」を中核とし、その文化や生活様式はとくに周辺諸地域へ伝播していったのですが、中国各地には古来独特な地域文化もあります。 とくに長江流域文化は「中国文明」を語るうえで重要な地位を占め、日本の伝統文化にも大きな影響を与えました。長江流域文化は、長い歴史をつうじて「中国文明」による統一化の波に洗われ、しかしそのつど再編され、新しく立ちあがってゆきます。工藤所長はそのダイナミズムの解明こそが「中国文明」の理解につながると考えました。おりしも 2000 年以降、長江中流域では戦国秦漢魏晉時代の簡牘・帛書が続々と出土し、地域文化を知るうえで格好の手がかりとなります。そこで本研究所は、武漢大学と連携し、赤外線撮影を通じた簡牘解読を行なってきました。2020年10月以降は新たに柿沼が所長となり、これまで築いてきた中国の研究機関との信頼関係を活用し、テクストレベルの上記基礎研究を継承・発展させ、具体的に以下の問題に取り組んでおります。