Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

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ICTを積極的に活用したレポートの質を高める授業設計

2023年度開講科目早稲田大学ティーチングアワード
総長賞受賞
対象科目:教育社会学2

受賞者:遠藤 健

「教育社会学2」の授業は、文化構想学部・文学部の2年生を中心に約30名が履修し、現代の教育課題について論理的に考察し、批判的に思考する力を養うことを目的としている。「現代社会の教育課題について、自ら考え、論理的に整理し、適切に表現できること」が授業目標である。

この授業では、教育社会学の基礎を学んだ後、具体的なテーマとして「教育格差」「ジェンダーと教育」「教師の課題」など6つの教育課題を扱う。「まずは基礎的な知識を学び、その後、自分なりに課題を設定し、解決策を考えるプロセスを重視しています」とのことだ。

また、授業は講義とワークの二部構成になっており、「講義が7~8割、残りの2~3割はペアワークやグループディスカッションの時間を確保しています」。学生同士で意見を交換することで、異なる視点を学ぶ機会を提供している。

さらに、レポート作成を重視し、「13回目と14回目の授業では、レポート作成のための時間を確保し、計画的な準備を促しています」とのことで、単なる講義ではなく、実践的な学びを重視した設計が特徴的な授業となっている。

ディプロマポリシーを念頭に置いた授業設計

遠藤先生は、授業を設計する際に「ディプロマポリシーにどう貢献するかを常に意識している」と語る。文化構想学部・文学部のディプロマポリシーには、「学際的な知識の習得」「論理的思考力の養成」「質の高い卒業論文の作成」などが含まれており、「この授業がその達成にどう結びつくのかを考えながら設計」しているそうだ。

特に、卒業論文の作成に向けた基礎力を培うことが重要視されており、「2年次のこの授業は、卒論のクオリティを高めるための基盤を作る役割を担っています」。そのため、論理的な文章を書く力や、教育課題を批判的に考察する力を重点的に鍛える内容になっているとのことだ。

また、文化構想学部・文学部には幅広い学問領域が存在し、学生の専攻も多岐にわたり、「哲学、日本文学、社会学など、さまざまな分野の学生が履修するため、社会科学の視点を明確に示しつつ、他の学問分野とのつながりも意識」されている。

Waseda MoodleYouTubeを活用したレポート作成の授業回を設け、質の高いレポート作成を促す

「レポート作成を計画的に進められるようにするため、13回目と14回目の授業をレポート準備の時間に充てています」と遠藤先生は説明する。この授業では、最終レポートの提出前に各自のレポート案をもとに学生間でディスカッションを行い、フィードバックを受ける機会を提供している。

しかし、以前は「レポート作成の回に欠席する学生が多く、計画的な執筆が進まない」という問題があったという。そこで、「13回目と14回目の授業に出席し、しっかりディスカッションを行った学生には5点の加点を与える」という仕組みを導入し、「外発的な動機付けですが、これによって学生の出席率がほぼ100%」になったそうだ。

さらに、遠藤先生は、レポートのクオリティを高めるために、「Moodleを活用し、最終稿には初稿の教員のフィードバックを踏まえなければ提出できない視聴制限機能を活用し、学生が修正しながらブラッシュアップできるように」設定することで、フィードバックの方法にも工夫を加えている。しかし、学生の中には「校閲機能の使い方がわからない」というケースも多かったため、動画を作成し、サポートした。「校閲機能の使い方を説明する動画をYouTubeにアップし、学生が自由に視聴できるように環境を整えました。」

今後の課題はさらに質の高い学びの機会を提供すること

遠藤先生は、現在の授業設計がある程度確立されたとしながらも、「さらに質の高い学びの機会を提供するために、改善を続けたい」と語る。特に、「レポートのクオリティが高い学生が一定数いるため、彼らがさらに深く学べる場を作ることが課題」と考えている。

「授業で求めるレポートのレベルを上げることで、より高度な研究へと進むきっかけを作りたい」。具体的には、「優秀なレポートを書いた学生には、さらに発展的な課題を与えたり、ゼミでの研究活動につなげたりする仕組みを検討したい」とのことだ。

さらに、「授業アンケートの回収率を上げることも重要な目標」だと語る。Moodleの設定を活用し、「アンケートを回答しないと最終レポートの提出ができない」仕組みを導入しているので、今後も学生のフィードバックをより多く集め、授業改善につなげる狙いがある。

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