第1弾に引き続き、今回も本学卒業生であり、この春就職して1年目を終えられる先輩にインタビューを行いました。
今回お話を伺ったのは、本学卒業生であり現在は株式会社日本政策投資銀行(DBJ)にお勤めの、遠藤魁人さん(2023年商学部卒)です。
学生ではなく、社会人として働くというのはどういうことなのか。遠藤さんに社会人1年目を振り返ってもらいました。
―今お勤めの企業の概要と、ご自身の仕事内容について教えてください。
株式会社日本政策投資銀行(DBJ)は、政府系金融機関の一つで、「金融力で未来をデザインします」という企業理念のもと、真に社会のニーズを汲み取り、DBJらしい価値を提供することを目的としています。そのため、企業名には「銀行」とついているものの、DBJ法のもと、融資だけでなく投資やアドバイザリー等も含め、投融資一体型の金融サービスを提供している点が特徴です。現在私は福岡県にある九州支店の業務課に所属していて、九州の企業に対する融資や投資といった業務を担当しています。
―今お勤めの企業に就職した最大の決め手は何ですか。
学生時代から問題の解決のためにどうするべきか考えるのが好きで、企業の課題解決ができるコンサル業界に興味がありました。なので、就活もコンサルをメインに進めていて、はじめは銀行にはあまり興味がありませんでしたね。ただ就活が進むにつれて、DBJという企業が金融という手段を用いて、日本産業に変革をもたらしていたり、地域の課題を解決していたりするということを知るようになりました。そういった仕事は他の企業ではなかなかできないですし、日本経済の発展に向けた課題解決の仕事ができるということに魅力を感じて、最終的に入社を決めました。
―仕事をしていてやりがいを感じる瞬間はありますか。
常に感じていますね。まだ1年目ではありますが、やはり学生時代にはやったことがないような難しいものを扱うんです。例えばある企業に融資をするとなると、膨大な資料を作ったり、お客さんと交渉したり、社内の他の部署と連携したりと想像以上に長いプロセスがあるんですね。なので、先輩方に助けられながらも最終的に一つのプロジェクトを終えられると、やはり大きなやりがいを感じます。
――1年働いてみて、大変だったことや失敗談などはありますか。
若手から裁量を持って仕事をさせてもらえる環境の中で、周りが見守ってくれていて、失敗する前に声をかけてもらえてもらえるので、今のところ大きな失敗談はないかもしれません。
大変なのは、良くも悪くも一つひとつの物事を進めるのに労力を要する、ということです。もちろん仕事として、学生時代とは違う、クオリティの高いものを作るために必要な工程ではあるのですが、その工程の複雑さがやはり大変だなと感じました。
――入社前と入社後でギャップはあったでしょうか。
正直あまりギャップはなかったです。DBJは全体で1,200人ほどの会社なので、ミスマッチが起こらないように採用をすごく大切にしていて、採用前に何度も社員の方とお話する機会が設けられているんですね。それもあって、あまりギャップを感じることはありませんでした。
あえて挙げるとすれば、政府系金融ということもあってお堅い社風を想像していったんですが、実際は自由で合理的な社風だったということでしょうか。結構何でも挑戦させてもらえるというか、むしろ自ら考えそれを説明することを求められる社風です。
――社会人になって感じた「大学生」と「社会人」の違いは何でしょうか。
自分は2つあると思っていて、一つはやはり責任が重く(広く)なるということだと思います。学生時代は自分の行動の結果は基本的に自分に返ってくる感じでしたが、社会人になるとそれが多くの人に大きな影響を及ぼすことになります。
もう一つは、明確な答えがないという点だと思います。例えば金利の設定一つをとっても、ロジック(根拠)に唯一の正解はありません。ある側面から正しいと言える複数のロジックを重みづけし、最終的に金利を設定する必要があります。業務に明確な答えが存在しないのが、学生時代との大きな違いだと思っています。
――社会人になって人間関係などは変化しましたか。
学生時代、自分はアルバイト20個、サークル6つを4年間で経験していたので、関わっていた人の範囲が周りに比べて広かったと思います。社会人になって関わる人の属性は、そういう意味では学生時代よりも偏っているかもしれませんが、もちろん学生時代とは違う方向に人脈は広がりました。
学生時代の友人と会う機会というのはやはり転勤したこともあって減りましたが、積極的に会うようにしています。大学時代の友達は一生の友達だと思うので、ぜひ皆さんも大切にしてください。
――学生時代の経験が糧になっていると感じることはありますか。
フラッシュモブサークルでの幹部としての経験は糧になっていると思います。200人くらいの規模の大きいサークルで、全員が私たち幹部の考えたことにそのまま賛同してくれるかというと、そうではなかったのです。なので、違う考えをもった人にも納得してもらえるように説明をしないといけないし、結論を出す時にもその人たちの目線を取り入れる必要がありました。
それはもちろん社会人も一緒で、会社や役職が違えばもちろん価値観も変わってきます。それを事前に想定して、その上で相手に納得感を与えられるように伝えようとする姿勢は、サークル幹部としての経験を通して培われて今も役立っています。できているかというとまだまだなんですけどね。(笑)
――逆に学生時代に○○しておけばよかった!と思うことはありますか。
一般教養というか、幅広い範囲のことをもっと調べておけばよかったなと思います。
例えば今の仕事では、情報通信業やリース業、鉄道業といった幅広いジャンルの企業を担当しています。そういった中で、学生時代に日常で疑問に思ったことや、ちょっとでも興味の湧いたことについては、スマホでも良いので進んで調べておくといいかもしれません。もちろん肩肘張ってやる必要はなくて、あくまで興味関心の範囲内で調べてみるのが大切だと思います。
――今いる業界で求められるスキルは何だと思いますか。
色々な方面に興味を持って学び続ける姿勢が大事だと思います。
金融業界は幅広い分野の企業を相手にしますし、特にDBJの場合は金融手段も幅広いので、一つひとつの企業に最適な金融サービスを提供するとなると、その都度新しい知識が必要とされます。そういった意味では、幅広い分野に興味を持ち、それについて学びつづける姿勢は求められるのではないでしょうか。
――最後に、就職・就職活動を控える後輩へのメッセージをお願いします。
就活生の皆さんは、ぜひ悔いのないように走り抜けてください。おそらく、就活し始めの時に見えていた自分や企業の見え方が変わってくる人もいると思います。私自身もともと金融業界には興味がなくて、メガバンクは一つも受けていないんですよ。だけど結果的に今の会社に入社してよかったと思っています。就活を通じて皆さんは日々成長しているし、案外自分になにが向いてるのか分からないこともあるので、常に「これが自分にとっての正解だ」と思える道に向かって、一直線に突き進んでいただければ良いと思います。
来年度以降に就活を迎える人の中には、社会人になる前に真面目に勉強しておかなくちゃ、と焦っている人もいるかもしれません。しかし、皆さんにとって最大の武器は、大学生としての時間だと思います。もちろん勉強をするに越したことはありませんが、それだけでなく、今だから繋がれる人との繋がりを大切にしたり、時間をたっぷり使って、何も計画を立てずに旅行してみたりとか、学生時代の今しかできないことをやってみてほしいです。そして何より、貴重な自由な時間で、本当に自分が興味を持つことを探し求めて、思う存分コミットしていって欲しいなと思います。その中身は何でもよくて、何かしらに一生懸命になった経験自体がこの先の人生で必ず活きてくるはずです。
インタビューを通して・・
今までとは異なる環境の中でも、学生時代の経験を生かしてお仕事をされている遠藤さんのお話を聞いて、新卒1年目の大変さを知ると同時に、大学での学びや経験がいかに社会に出るうえで重要であるかを知れました。
社会人になった自分をなかなか想像できないでいる人も多いと思いますが、少しでもこのインタビュー記事が皆さんの将来を考えるきっかけになったらうれしいです。
今回で新卒1年目のインタビュー企画は終了です。第1弾のほうの記事をまだ読まれていない方は、是非そちらも読んでみてください。
https://www.waseda.jp/inst/career/news/2024/04/04/25434/
取材日:2024年2月25日
インタビュアー・文=梅原凜(文化構想学部・1年)
写真=小林昌広(文学部・3年)
※取材時点の学年です。
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