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「問われるのは自分で切り拓く力」【卒業生インタビュー】渡部さん(政治経済学部卒)

交換留学難民キャンプでの
ボランティア活動が進む方向を決める足がかりに

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国際協力の分野に特に関心を持ち始めたのは、早稲田からジョージタウン大学に交換留学をした3年生のときです。当初はアメリカの外交政策に興味がありましたが、多様なバックグラウンドを持った学生と学ぶなかで、欧米人ではない自分を強く意識するようになり、貧困や民族紛争などのグローバル・イシューへと関心が移っていきました。学生時代のもう一つの大きな経験は、あるNGOのボランティアとしてクロアチアのボスニア難民キャンプで活動したことです。紛争によって人生を翻弄され難民と呼ばれることとなった人たちも、それぞれが家族や友人を大切にしながら懸命に生きる、私たちと何も変わらない普通の人々なのだという実感を得ました。そこから人道支援に何らかの形で関わり続けたいという人生の目標も生まれました。

卒業後は、政府開発援助(ODA)を実施する海外経済協力基金(現在の国際協力機構/JICA)に入りました。発展途上国が直面する課題の解決に少しでも力になりたいという思いで仕事に打ち込みましたが、特に印象深いのは対中協力です。新人時代、そして後には北京駐在員として中国内陸部を駆け巡り、現地の方々と一緒に農業開発などのプロジェクトを進めました。こうした経験を通じて、受益者や協力相手の立場に立って考えることの重要性を学び、今につながる財産になりました。やがて、自分が大切に思うことを中心にしてさらに専門性を高め、プロフェッショナルとして成長していきたいという気持ちが強まり、イギリスの大学院に進んだ後、国連に応募しました。国連職員となった今、国連憲章にあるように、平和、開発、人権といった人類の普遍的な価値を道しるべとして全力を傾けられることにやりがいを感じます。多文化の職場ならではの苦労や発展途上国の厳しい勤務地も少なくありませんが、職員一人ひとりがそれぞれ自分にあったキャリアを一歩ずつ築いていける環境が私には合っていると感じます。

大学時代は、ぜひ積極的に「現場」体験を積み、グローバル時代を生き抜く上で最も大切な「自分で切り拓く力」を磨いてください。日本は今、子どもの貧困やジェンダー格差、更なる災害対策の必要性やエネルギー問題などに直面していますが、これらは同時に地球規模の課題でもあります。そんな世界へと通じる「現場」は身近なところにもきっと見つかるはずです。

原体験として心に刻まれた難民キャンプでの交流

クロアチアのボスニア難民キャンプで過ごした1カ月は、その後の人生に大きな影響を与えた原体験と言えます。それまで、ボスニアについて勉強したり、民族紛争をテーマに卒論を書いたりと、アカデミックな観点から紛争や難民について考える機会はありました。しかし、実際に難民キャンプを訪れ、人々から直接話を聞くなかで、「難民になるということはどういうことか」を初めて実感することが出来ました。私に出来たのは、子どもたちと遊んだり、お年寄りの聞き役になったりする位でしたが、そこには何の利害関係もない、同じ人間同士の触れ合いがありました。まさに、学生時代だからこそ得られた貴重な経験だと今でも思っています。

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調整力や発信力を駆使しリーダーシップを発揮

国連人道問題調整事務所(OCHA)の役割は、紛争下や災害時における国際支援の現場で、政府や国連機関、赤十字、NGO、民間団体などの活動に重複やギャップが生じないよう調整し、共通課題の解決に向けてリーダーシップを発揮することです。また、私が現在勤めている神戸事務所は、OCHAの日本におけるスポークスパーソンの役割も担っています。業務に求められるのは、多様な関係者を巻き込んでいく力や、簡潔かつ論理的にレポートをまとめる力、そしてメディア等に向けて分かりやすくメッセージを伝える力などで、期せずして英語部で磨いたスキルがとても役立っています。国籍を超えて世界のために働ける一方、日本で生まれ育ったことで身についた、きちっと期日を守り緻密に作業を進める、あるいは最後まで粘り強くやり遂げるといった力も、国連のような職場ではとても評価されると実感しています。


 

渡部 正樹
国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所長
1997年政治経済学部卒業

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長期・中期・短期の海外留学プログラムが早稲田には充実し、400を超える海外の協定大学から、語学力や目的に応じて留学先を選択することができます。1年にわたる長期留学でも、留学先の単位認定により、多くの学部で4年間での卒業が可能です。

※掲載情報は2015年度内の取材当時のものです。

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