Admissions Center早稲田大学 入学センター

複雑化する背景要因も含め環境を多角的な視点で学び次世代に引き継ぐ方法を探る

自然環境と人間活動の相互作用を生態学的に捉える

私の専門は「森林環境科学」ですが、研究対象は森林に限らず、それに隣接する農地や草地、宅地などの人間活動の場を含めた一帯です。なぜなら、森林をはじめとする自然環境の問題は、人間活動と切り離して考えることができないからです。私の研究室では自然環境と人間活動の相互作用を生態学的に捉えながら、熱帯林の保全、国内の里地里山の保全、地球温暖化対策などに関する研究に取り組んでいます。この所沢キャンパスの周辺も昔ながらの里山で、農家の人々が落ち葉(自然資源)を堆肥に利用することで、雑木林に適度に人の手が入り景観が維持されてきました。一方、国内の多くの中山間地域では、
人口減少により従来の自然環境を保全することが困難になっています。状況の改善に向けて鍵となるのが、地域の方々、そしてI ターンやU ターン、短期滞在などで外から地域に入ってくる人たちの活力やアイデアです。そうした新たな人的資源と地域とをいかにつなげ、自然環境をより良い形( 人と環境が調和)で次世代に引き継いでいけるか。ワークショップなどを通して、学生たちと継続的に地域に関わりながら研究を続けています。

現場での体感や発見を通して理解は深まる

研究室のモットーは「五感をフルに使い実践する」。学生は日頃から各地の里地里山でフィールド調査を実施し、自然環境が劣化する背景要因の分析や、その対策の立案に取り組みます。私がフィールド調査を重視するのは、それが森林環境科学の基本であることに加えて、現場での体感や発見を通して理解は深まると考えるからです。例えば目の前の森林が年間に何トンの二酸化炭素を吸収しているのかが、実測によって肌感覚でわかります。動物の糞を分析してエサを調べることで、生物多様性の程度を視覚化できます。このように、自然環境について概念として知っているつもりでいることを、五感を使って科学的に捉え直すのがフィールド調査なのです。毎年、海外でのフィールド調査の機会もあるのでぜひ参加してください。近年の複雑化する環境問題は、背景に少子高齢化や過疎化、地域格差、貧困など多様な社会問題がリンクしています。人間科学部で環境を学ぶ意義はそこにあり、幅広い設置科目を通して人間や社会の諸問題に触れ、その関連性を見極める視点を持つことで、学びは一層有意義なものになるはずです。


平塚 基志 Hiratsuka Motoshi

人間科学部 人間環境科学科 准教授

※掲載情報は2018年度内の取材当時のものです。

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