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安静時代謝量の性差と関連する身体組成の構成要素に関する検討

安静時代謝量の性差と関連する身体組成の構成要素に関する検討
Posted
Tue, 13 Oct 2026

概要/Abstract

本研究では、日本人の男性・女性アスリートを対象に、安静時代謝量(RMR)の性差と身体組成との関係を検討しました。その結果、RMRには除脂肪量、特に骨格筋量が強く関連し、男女でRMRの差が生じる背景に身体組成の違いが関与することが示されました。

 これまでの研究で分かっていたこと/Research Background

RMRは、生命を維持するために必要な最低限のエネルギー量であり、1日の総エネルギー消費量の中で大きな割合を占めます。そのため、アスリートの必要エネルギー量を考えるうえで重要な指標です。
RMRは体重や身体組成、とりわけ除脂肪量と密接に関連することが知られています。また、一般成人だけでなくアスリートにおいても、男性は女性よりもRMRが高いことが報告されており、RMRの推定式にも性別が変数として組み込まれてきました。
一方で、これまでの研究では除脂肪量をひとまとめの指標として扱うことが多く、除脂肪量を構成する骨格筋などの個々の身体組成要素がRMRにどの程度関係しているのかについて、男女のアスリートを同一研究内で比較した研究は限られていました。

 今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと/Findings 

本研究では、日本人の男性アスリート74名、女性アスリート47名を対象として、男女のRMRの違いが身体組成の違いによって説明できるかを検討しました。
男性アスリートは女性アスリートよりRMRが高かったものの、除脂肪量 1 kgあたりのRMRに男女間での有意差は認められませんでした。RMRの説明モデルに、身体組成の構成要素として「脂肪量+骨格筋量+その他」を組み入れたところ、骨格筋量のみが有意な因子として選択され、男性アスリートの実測RMRの約8割(決定係数R²=0.794)、女性アスリートの実測RMRの約4割(R²=0.421)の変動を説明し、説明力は男女で異なりました。これらの結果から、アスリートのRMRを理解するうえで、単に体重や除脂肪量だけを見るのではなく、その組成にも着目することが重要であることが示されました。

そのために新しく開発した手法/Methods developed

本研究の特徴は、精密な測定手法を組み合わせ、従来は除脂肪量として一括して扱われることが多かった身体組成を、より詳細な構成要素に分けてRMRとの関係を分析した点にあります。具体的には、DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)によって体脂肪率、骨塩量、四肢除脂肪軟部組織量を測定し、得られた値から除脂肪量、骨量、骨格筋量、その他(=体重−骨量−骨格筋量)を算出しました。

研究の波及効果や社会的影響/Research implications to the society

本研究の成果は、アスリートの安静時代謝量をより適切に評価するための基礎的な知見となります。RMRと特に強く関連する身体構成要素として骨格筋量が示されたことで、アスリート個々人の身体組成や競技特性を考慮した、より精度の高いエネルギー必要量の推定につながる可能性があります。
一方で、除脂肪量に基づくRMRの推定は有用であるように見えますが、女性アスリートにおいて説明力が低かったことから、骨格筋量だけでは女性アスリートのRMRを完全に捉えきれていない可能性が示唆されました。特にエネルギー状態および内分泌状態に変動が生じやすい可能性のある女性アスリートに対して、一般化されたRMR推定式を用いる際には注意が必要です。

今後の課題/Future issues

本研究は横断研究であり、身体組成とRMRの因果関係を直接示したものではありません。今後は、縦断研究によって身体組成の変化とRMRの変化を検討していくこと必要があります。
特に女性アスリートでは、骨格筋量だけではRMRの個人差を十分に説明できない可能性があるため、身体組成に加えて、内分泌や生理学的要因などを含め、女性アスリートにおけるRMRの個人差を生み出す要因を明らかにしていく必要があります。

研究者のコメント/Researcher’s Comment

骨格筋量はアスリートの安静時代謝に寄与しています。また、男女のアスリートを比較することで、安静時代謝量の違いに身体組成が大きく関係することを明らかにしました。アスリートの健康や競技力を支える栄養サポートにつなげていくために、今後も精度高くRMRや身体組成を評価する研究を進めていく必要があると考えています。

論文情報/Journal Information

雑誌名/Journal:Frontiers in Sports and Active Living
論文名/Title:Body composition components associated with sex differences in resting metabolic rate among Japanese athletes
執筆者名・所属機関名/Authors and Affiliated Organisation:Nozomi Miura1,2,3 Mika Goshozono3 Kuniko Moto3,4 Honoka Miyashita1 Suguru Torii2,3 Akira Namba5 Motoko Taguchi2,3
1 Graduate School of Sport Sciences, Waseda University
2 Faculty of Sport Sciences, Waseda University
3 Research Institute for Sports Nutrition, Waseda University
4 Faculty of Human Nutrition, Seitoku University
5 Department of Clinical Genomics, Saitama Medical University
Publishment Date(Local Time):02 July 2026
Publishment Date(Japan Time):02 July 2026
URL:https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2026.1816324/full
DOI:10.3389/fspor.2026.1816324

研究助成/Research Grant

研究費名/Research Fund:日本学術振興会 科学研究費助成事業(23K10695)
研究課題名/Research Subject:アスリートの安静時代謝への影響要因の解明
研究代表者名・所属機関名/Research Representative and Affiliated Organisation:田口素子・早稲田大学スポーツ科学学術院