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3分30秒の軽運動で子どもの認知機能と気分が向上

3分30秒の軽運動で子どもの認知機能と気分が向上
Posted
Wed, 27 May 2026

概要

小中学生を対象に、3.5分間の低強度運動を1回行うことで、実行機能(抑制制御)(※1、※2)と快適度が向上し、覚醒度の低下が抑制されることを世界で初めて示しました。教育現場で実践することで、身体面だけでなく、認知面や情緒面においても効果が期待されます。

これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

運動が認知機能を高めることは多くの研究で示されてきました。しかし、その多くは20分以上の中・高強度の運動を研究対象としていました。近年、子どもの運動不足や座りすぎが社会問題となる中、学校現場で取り入れやすい「5分以内」「道具不要」「低強度」でできる運動プログラムについては、十分な科学的検証が行われていませんでした。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究は、5分以下の低強度運動でも認知機能が向上することを世界で初めて示しました。具体的には、3分30秒の軽運動により、行動や感情のコントロールに関わる「抑制制御」が高まり、さらに快適度の向上と、座りっぱなしによる眠気(覚醒度の低下)の防止に効果があることが明らかになりました。

そのために新しく開発した手法

前年に同研究グループが特定した前頭前野の血流を増加させやすい低強度種目(動的ストレッチ、捻り動作を伴う静的ストレッチ、片足バランス、手指の運動)を組み合わせた3.5分間のプログラムを作成しました。実験では小中学生31名を対象に、安静条件時と軽運動実施時の成績を、カラーワード・ストループ課題(認知機能評価)(※3)と二次元気分尺度(TDMS)を用いて評価しました。

研究の波及効果や社会的影響

特別な道具を使わず教室のその場で実施できるため、学校や塾の授業前や合間に取り入れることで、子どもの学習効率の向上や気分の改善、座りすぎによる健康リスクの軽減に寄与することが期待されます。

今後の課題

今後は対象年齢を広げた検証や、習慣的に継続した場合の長期的な効果の解明が必要です。また、教育現場で導入しやすい動画コンテンツの開発や、運動不足の高齢者やオフィスワーカーへの応用についても研究を進めていく必要があります。

研究者のコメント

少しでも体を動かすことが、私たちの心や脳にとって大切であることを示した研究です。学校や塾の教室で、このような短時間の運動が日常的に実践される環境づくりを目指し、今後さらなる研究を進めます。子どもに限らず、運動不足や長時間座りがちな大学生や大人の方も、ぜひ実践していただけると嬉しいです。

用語解説

※1 実行機能:特定の目標達成のために適切な行動を選択する能力。抑制制御、作業記憶、認知的柔軟性の3つの機能で構成されます。
※2 抑制制御:行動の衝動性を抑え、注意を維持する力。学習や日常生活全般において重要な役割を果たします。
※3 カラーワード・ストループ課題:抑制制御を評価する心理テスト。「青」という文字が黄色のインクで書かれている際、文字の意味ではなく「インクの色(黄色)」を答えるなど、邪魔な情報を抑える能力を測ります。

論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Acute 3.5-minute light-intensity exercise enhances executive function and psychological mood in children.
執筆者名・所属機関名:内藤 隆(早稲田大学大学院スポーツ科学研究科)、石井 香織、岡 浩一朗(早稲田大学スポーツ科学学術院)
Publishment Date(Local Time):2025年12月5日
Publishment Date(Japan Time):2025年12月5日
(オンライン掲載の場合/For online publication)
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-27358-2
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-025-27358-2

研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

研究費名:科学研究費助成事業(JSPS科研費)
研究課題名:子供の身体不活発化の抑制と実行機能を高める短時間軽運動プログラムの開発/子どもの24時間行動基準の遵守が健康・学力に与える長期的影響の解明
研究代表者名・所属機関名:JP 21K11507(内藤 隆)、JP 23K10770(石井 香織)

 

石井 香織
研究者詳細 – 石井 香織