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サッカー選手における生物学的成熟段階に基づくアジリティの規定因子
- Posted
- Wed, 27 May 2026
概要
発育期サッカー選手を対象に、身体が成長するにつれて※1アジリティがどのように発達していくかと、身体の成長段階ごとにアジリティと関係する能力を調べました。本研究の結果は、選手の身体的な成長に応じて、より効果的なアジリティのトレーニングを考える手がかりになります。
これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)
これまでの研究では、アジリティの発達について「年齢」を基準に調べたものが多く、選手一人ひとりの身体の成長度合いの違いはあまり考えられてきませんでした。しかし、同じ年齢でも身体の成長の進み方には個人差があります。そのため、身体の成長からみたときに、「いつ」「どの能力をトレーニングするべきか」という科学的な根拠は十分に示されていませんでした。
今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと
本研究では、身体の成長がどれくらい進んでいるかを基に、研究参加者の選手を※2Pre-PHV、Circa-PHV、Post-PHVという3段階に分けて調査を行いました。その結果、アジリティはPre-PHVからCirca-PHVの時期に大きく向上し、この時期には反応スピードや下肢パワーの発達が強く関係していることが分かりました(図1)。このことから、この時期に反応や下半身のパワーを高めるトレーニングを行うことが、アジリティ向上に効果的である可能性が示されました。

図1 異なる成熟段階間のアジリティ(a)、反応時間(b)、下肢パワー(c)の比較
そのために新しく開発した手法
これまでの研究は年齢を基準に選手を分けて調査していましたが、本研究では身体の成長がどれくらい進んでいるかを基準にして、アジリティの発達のしかたを調べました。研究参加者の選手を身体の成長度合いを基にしてPre-PHV、Circa-PHV、Post-PHVの3段階に分類し、それぞれの段階のアジリティとそれに関係する能力を比べるという手法を用いました。
研究の波及効果や社会的影響
本研究は、選手一人ひとりの身体の成長度合いに注目して、アジリティの発達を調べた初めての研究の一つです。本成果は、選手の成長に応じたアジリティのトレーニング方法を作り上げることにつながり、将来的には、競技力の高い選手の育成に貢献することが期待されます。
今後の課題
今後は、本研究で得られた知見をより確かなものにするために、成長段階ごとに異なるトレーニングを行い、アジリティに対するトレーニング効果を検証することが今後の課題です。
研究者のコメント
発育期では、アジリティ向上のために行うべきトレーニングが身体の成長とともに変わっていくことが本研究における重要な知見であると捉えています。今後の課題に向き合い、成熟度に応じた最適なアジリティに対するトレーニング方法の確立に貢献できればと考えています。
用語解説
※1 相手選手やボールの動きなどに反応し、素早く方向を変えて動く能力です。
※2身長が最もよく伸びる時期を基準にした成長段階の分類です。
Pre-PHV:身長が急に伸びる時期より前の段階
Circa-PHV:身長が最も速く伸びる時期の前後
Post-PHV:身長の伸びが落ち着いてきた段階
論文情報
雑誌名: BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation
論文名 Determinants of agility across biological maturation status in soccer players
執筆者名・所属機関名:Hironaga Ito(早稲田大学スポーツ科学研究センター),Kuniaki Hirayama(早稲田大学スポーツ科学学術院),Yuto Naito(パフォーマンスアップチームリザルト),Takao Akama(早稲田大学スポーツ科学学術院)
Publishment Date(Local Time): 25 November 2025
Publishment Date(Japan Time): 25 November 2025
(オンライン掲載の場合)
URL:https://link.springer.com/article/10.1186/s13102-025-01424-8
DOI: https://doi.org/10.1186/s13102-025-01424-8
研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)
研究費名:なし
研究課題名:なし
研究代表者名・所属機関名:なし
赤間 高雄