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ユース男子バスケットボール選手における年齢カテゴリー別のアイソメトリック・ミッドサイ・プルの信頼性/Reliability of Isometric Mid-Thigh Pull in Youth Male Basketball Players Across Age Categories

ユース男子バスケットボール選手における年齢カテゴリー別のアイソメトリック・ミッドサイ・プルの信頼性/Reliability of Isometric Mid-Thigh Pull in Youth Male Basketball Players Across Age Categories
Posted
Tue, 13 Oct 2026

概要/Abstract

本研究は、ユースバスケットボール選手(U12、U15、U18)59名を対象に、※Isometric Mid-Thigh Pull(IMTP)の信頼性を検証しました。最大筋力(PF)は全年代で高い信頼性を示した一方、※力の立ち上がり率(RFD)は特に若年層の短い時間枠で信頼性が低く、RFDの活用にはプロトコルの改善が必要であることが明らかになりました。

This study examined the reliability of peak force (PF) and rate of force development (RFD) derived from the Isometric Mid-Thigh Pull (IMTP) in 59 youth male basketball players. Participants were divided into three age categories (U12, U15, and U18) to assess within-session and between-day reliability. The findings revealed that PF demonstrated consistently high reliability across all age groups with minimal measurement error. Conversely, RFD exhibited poor reliability, particularly in shorter time windows (0–50 and 0–100 ms) and among the younger U12 and U15 athletes. Although longer time windows improved reliability, the large variability limits its practical use for detecting individual performance changes. Therefore, while PF is recommended as a robust assessment metric for youths, RFD requires protocol modifications, such as extended familiarization, before it can be reliably implemented.

 これまでの研究で分かっていたこと/Research Background

ユースアスリートの筋力評価はトレーニングの負荷設定などに不可欠ですが、成長に伴う身体的変化の影響を強く受けます。従来は最大挙上重量テストが一般的な筋力評価の方法として用いられてましたが、習熟や技術が必要なため現場での実施には制限がありました。その代替として、安全かつ短時間で実施できるIMTPが注目されています。成人アスリートにおいてIMTPから得られるPFは高い信頼性を示しますが、神経筋機能の指標であるRFDは信頼性が低いことが課題とされていました。しかし、成長過程にあるユースアスリートにおいて、年齢や発達段階が測定の信頼性にどのような影響を与えるかは十分に明らかにされていませんでした。

 今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと/Findings 

本研究は、U12、U15、U18の3つの年齢カテゴリーのユースアスリートを対象に、IMTPから得られるPFとRFDのセッション内および日間の信頼性を評価しました。その結果、PFはいずれの年代においても一貫して極めて高い信頼性(ICC 0.77~0.98、CV 3.4~8.2%)を示すことが明らかになりました。一方で、RFDは特にU12およびU15の短い時間枠(0-50、0-100 ms)において信頼性が低いことが明らかになりました。時間枠を長くする(0-150~0-250 ms)と信頼性は向上するものの、変動係数(CV)は依然として高く、個人の変化を正確に捉えるにはばらつきが大きすぎることが確認されました。

そのために新しく開発した手法/Methods developed

これまでユースアスリートとして幅広く一括りに評価されることが多かった対象者を、U12・U15・U18という年齢カテゴリーごとに細分化して比較・分析するアプローチを採用しました。この年齢層別の分析手法を用いることで、成長・発育段階の違いが測定の信頼性にどのような影響を与えるのかを詳細に検証しました。

研究の波及効果や社会的影響/Research implications to the society

ユースアスリートの長期的な育成(LTAD)において、筋力のモニタリングには年齢や熟練度を問わず安定して測定可能なPFを主要な指標として用いるべきであることが示されました。これにより、スポーツ現場において安全かつ確実な筋力評価の実践が推進されます。一方、神経筋機能の指標とされるRFDは、若年層や経験の浅い選手ではばらつきが大きく個人評価には不向きであることが示され、今後更なる研究が必要になることが明らかになりました。

今後の課題/Future issues

RFDの測定信頼性を向上させるため、初めて評価を行う対象者には測定日より前の十分な習熟セッションを追加することや、より多い回数の練習試行を実施する必要があります。さらに、キューイングの最適化、視覚的フィードバックの提供、さらにはペース配分をしてしまうのを防ぐために1秒間の短縮プロトコルの導入など、複数の戦略を組み合わせた検証が今後の課題です。

研究者のコメント/Researcher’s Comment

近年、アスリートの競技力向上のために、ユース年代から計画的なトレーニングを行うことの重要性が世界的に広く認識されています。しかし、成長段階にあるユースアスリートのトレーニング効果を安全かつ正確に評価する手法は、これまで十分に確立されていませんでした。本研究成果が、ユースアスリートにおける適切な評価手法の確立、ひいては効果的なトレーニングプログラム構築の一助となれば幸いです。まだまだ明らかにすべき課題は多く存在するため、今後もスポーツ現場に還元できる知見を目指して精進してまいります。

用語解説/Terminology

※1  Isometric Mid-Thigh Pull(IMTP)
フォースプレートの上で、大腿中央部の高さに固定されたバーを引っ張ることで、下肢の最大筋力や力の立ち上がりを安全に測定するテスト方法です。

※2 力の立ち上がり率(RFD)
力を立ち上げる速度を示す指標で、スポーツにおける素早い動作に必要な神経筋機能を反映します。

論文情報/Journal Information

雑誌名/Journal:Journal of Sports Science and Medicine
論文名/Title:Reliability of Isometric Mid-Thigh Pull in Youth Male Basketball Players Across Age Categories
執筆者名・所属機関名/Authors and Affiliated Organisation:
Kotaro Kamada (Graduate School of Sport Sciences, Waseda University)
Daichi Yamashita (Department of Sport Science and Research, Japan Institute of Sports Sciences)
Daichi Nishiumi (Faculty of Sport Sciences, Waseda University) Norikazu Hirose (Faculty of Sport Sciences, Waseda University)

Publishment Date(Japan Time):01 September 2026, 2026年9月1日
(オンライン掲載の場合/For online publication)
URL:http://www.jssm.org
DOI:https://doi.org/10.52082/jssm.2026.556