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- 性差と台高が片脚ドロップジャンプの床反力特性に与える影響
性差と台高が片脚ドロップジャンプの床反力特性に与える影響
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- Thu, 04 Jun 2026
概要/Abstract
本研究では、球技系種目選手男女40名に対し、20cmおよび30cmの台からの片脚ドロップジャンプ(Single-leg Drop Jump; SLDJ)を測定し、床反力波形の変化を検討しました。男女ともに高い台からのSLDJでは、着地後早期により大きな衝撃(ピーク床反力)が発生しました。さらに、女性のみ衝撃吸収効率※1が低下することが示されました。これらの結果から、性別を考慮した適切な台高設定が、リスク評価およびトレーニング設計に重要であることが示唆されました。
これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)/Research Background
膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament; ACL)損傷は、アスリートにとって深刻なスポーツ外傷であり、多くは着地や方向転換などの急激な減速動作中に発生します。ACL損傷の発生率は女性が男性の約1.4〜4.1倍高いことが知られています。これまでの研究では、リスク評価の際に男女で同じ台の高さが設定されることが多く、また、床反力を詳細に評価した研究は限られていました。
今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと/Findings
本研究では20cmおよび30cmの台からSLDJの床反力波形を比較し、以下の知見を得ました。
- 台が高くなると、男女ともにピーク床反力(体重比)が増大し、発生タイミングも早くなる。
- 女性のみ、台高の上昇に伴い、衝撃吸収効率が低下する。
すなわち、男女ともに台高の上昇によって身体への衝撃は増加しますが、その衝撃を素早く吸収し、推進力へと変換する能力は女性で低下することが明らかになりました。
そのために新しく開発した手法/Methods developed
本研究では、SLDJ中の床反力をより詳細に捉えるため、以下の分析手法を導入しました。
- 床反力波形を「衝撃吸収局面」と「力生成局面」に分け、それぞれのピーク値を比較。
- 波形全体の形状を基準化し、“Good”、“Moderate”、“Poor”の3段階に分類。(図1)

図1 床反力波形の分類
このような波形分類により、従来の単一的指標では捉えられなかった着地動作の特徴を明らかにすることが可能になりました。
研究の波及効果や社会的影響/Research implications to the society
本研究の成果は、ACL損傷リスクのスクリーニングやトレーニング設計において、性差を考慮したアプローチを導入するための科学的根拠を提供します。また、競技現場でも活用可能な床反力解析手法として、有用性があると言えます。
今後の課題/Future issues
本研究では床反力のみを対象として解析を行いました。今後は、床反力波形で“Poor”と分類された選手の筋活動や関節角度などの運動学的特徴を明らかにし、より包括的な傷害リスク評価モデルの構築を目指します。これにより、どのような介入が傷害予防に有効であるかを具体的に検討していくことが可能になります。
研究者のコメント/Researcher’s Comment
ACL損傷は長年にわたり多くの研究者が取り組んできた課題であるにもかかわらず、その発生率は依然として高いままです。現在では、様々なデバイスの進歩により、研究室外でも簡便に計測が可能になりました。本研究で用いた床反力計もその一つであり、波形分類を用いることで短時間での評価が可能です。今後は、スポーツ現場において即時的なリスク判断やトレーニング評価に活用できるよう、より実践的な研究を進めていきたいと考えています。
用語解説/Terminology
※1衝撃吸収効率
着地時に床から受ける衝撃を、いかに素早く減衰させることができるかの指標
論文情報(掲載された場合)/Journal Information (if published)
雑誌名/Journal:Journal of Human Kinetics
論文名/Title:Sex Differences in Force-Time Curve Characteristics During Single-Leg Drop Jumps with Increased Drop Heights
執筆者名・所属機関名/Authors and Affiliated Organisation:Yuriko Nishikawa, Daichi Nishiumi, Norikazu Hirose
Publishment Date(Local Time): 2026/3/10
Publishment Date(Japan Time):2026/3/10
広瀬 統一