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- 生活習慣の組み合わせで子どもの体力に違い ―身体活動・スクリーンタイム・睡眠の関連を検証―
生活習慣の組み合わせで子どもの体力に違い ―身体活動・スクリーンタイム・睡眠の関連を検証―
- Posted
- Wed, 27 May 2026
概要
小学生を対象に、「身体活動・娯楽目的のスクリーンタイム(※1)・睡眠の状況」と「体力」の関連を調査しました。その結果、毎日60分以上の中高強度身体活動を行う子どもは体力が高く、さらに適切なスクリーンタイムや睡眠を組み合わせることで、体力がより高い傾向にあることが示されました。
これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)
日本の子どもの体力は1980年代をピークに低下し、2000年頃から回復傾向にありましたが、直近では再び体力テストの得点が低下しています。体力低下の要因として、身体活動の減少だけでなく、ゲームやスマートフォンの利用時間の増加、睡眠不足などの生活習慣の変化が指摘されています。
近年では、1日の行動を構成する「身体活動」「座位行動※2」「睡眠」の3つで捉える『24時間行動ガイドライン』という考え方が国際的に広がっています。しかし、これらの生活習慣の組み合わせと子どもの体力の関連について、日本で詳細に検討した研究は多くありませんでした。
今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと
本研究では、小学生307名を対象に、体力テストの結果と生活習慣との関連を分析しました。その結果、毎日60分以上の身体活動を行っている子どもは体力が高いことが示されました。さらに、身体活動に加えて娯楽目的のスクリーンタイムが短い、または十分な睡眠をとっている子どもでは、体力がより高い傾向がみられました。これらの結果から、子どもの体力向上には身体活動だけでなく、スクリーンタイムや睡眠を含めた生活習慣全体を整えることが重要である可能性が示されました。
そのために新しく開発した手法
横浜市内の調査協力校の小学校児童を対象に、体力テスト(新体力テスト8種目)の結果を取得するとともに、質問紙を用いて身体活動量・娯楽目的のスクリーンタイム・睡眠時間について調査を行いました。さらに、24時間行動ガイドラインに基づき、身体活動・スクリーンタイム・睡眠のそれぞれについて推奨基準を満たしているかどうかを分類し、それぞれの生活習慣の遵守状況と体力テストの得点との関連を分析しました。
研究の波及効果や社会的影響
本研究は、子どもの体力向上のためには身体活動だけでなく、スクリーンタイムの適切な管理や十分な睡眠といった生活習慣を総合的に整えることが重要である可能性を示しました。今後、学校や家庭において運動習慣の形成を促すだけでなく、生活習慣全般を見直すことが、子どものさらなる体力向上につながると考えられます。
今後の課題
本研究は1校の児童のみを対象としているため、調査人数および対象地域が限られています。今後は、より多くの地域や中学生・高校生なども含めた大規模な研究が必要です。また、本研究は横断研究(1時点での調査)であるため、生活習慣と体力の因果関係については今後の継続的な調査を行い、検証する必要があります。
研究者のコメント
子どもの体力は将来の健康の基盤となります。本研究では、体を動かすことに加え、過度なスクリーンタイムを抑え、十分な睡眠をとるといった生活習慣を整えることが、体力の高さと関連する可能性を示しました。学校や家庭、そして社会全体で子どもたちの生活習慣を見直すきっかけになればと考えています。
用語解説
※1 スクリーンタイム
テレビ、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの画面を見て過ごす時間を指します。本研究では、ゲームや動画視聴、SNSなどの娯楽目的の利用時間を対象としており、授業や学習のための利用時間は含めていません。
※2 座位行動
座った状態や横になった状態で行われる、エネルギー消費の少ない覚醒時の活動のことです。スクリーンタイムも座位行動の一つに含まれます。
論文情報
雑誌名:PLOS One
論文名:Differences in physical fitness levels by adherence to the 24-hour movement guidelines among Japanese elementary school children
執筆者名・所属機関名:Takashi Naito, Kenryu Aoyagi, Koichiro Oka, Kaori Ishii
(オンライン掲載の場合/For online publication)
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0337972
DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0337972
研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)
研究費名/Research Fund:科学研究費助成事業(JSPS科研費)
研究課題名/Research Subject:子供の身体不活発化の抑制と実行機能を高める短時間軽運動プログラムの開発/子どもの24時間行動基準の遵守が健康・学力に与える長期的影響の解明
研究代表者名・所属機関名/Research Representative and Affiliated Organization:JP 21K11507(内藤 隆)、JP 23K10770(石井 香織)
石井 香織
研究者詳細 – 石井 香織