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中鎖脂肪酸の長期にわたる適度な摂取増加はマウスの筋肉代謝と機能を高める

中鎖脂肪酸の長期にわたる適度な摂取増加はマウスの筋肉代謝と機能を高める
Posted
Wed, 27 May 2026

概要

中鎖脂肪酸(MCFA)の摂取が筋力を増強することを示す多くの研究があることから、我々は、MCFA投与がマウスの筋機能を改善する可能性があるという仮説を立てた。この仮説を検証するため、6080 g/kgの安全な範囲で3つのMCFA投与群を設定し、これらの投与量の筋機能に対する慢性的影響を調べた。 

これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

MCFAは、612個の炭素原子からなる脂肪酸群である。MCFAは小腸で直接吸収され、門脈経由で肝臓に運ばれ、迅速にβ酸化※1される。この特異的な代謝経路により、MCFAは長鎖脂肪酸(LCFA)と比べ、より顕著な効果を示す。そのため、糖尿病、肥満、てんかん、アルツハイマー病などの潜在的な治療薬として注目されている。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

MCFAの代謝、認知機能、筋力などへの改善効果は既に実証されているが、安全性への配慮から、その応用と研究は低用量・低比率に限られていた。本研究は安全範囲内での高用量MCFAがマウスに及ぼす影響を初めて検討するものであった。 

そのために新しく開発した手法

本研究では、高濃度MCFAを含有する高脂肪飼料を用いて肥満マウスを作製する新たなモデルを確立した。

研究の波及効果や社会的影響

研究により、MCFAの最適な摂取量とその効果を明らかにした。食生活の欧米化による高脂肪食が身体に与える悪影響の軽減が期待される。

今後の課題

研究をもとに、動物実験、人を対象とする実験、細胞実験によるMCFAの作用プロセスに関して続けて探求する。これらの研究から得られる科学的根拠は、個別化された栄養戦略の開発や中鎖脂肪酸関連製品の改善に貢献すると考えられる。 

研究者のコメント

MCFAは、天然由来の栄養分子として、単なるエネルギー源以上の価値を持っています。本研究では、MCFAの摂取量を適度に増やすことで、筋代謝および筋機能が有意に改善されることが示されました。主な作用機序としては、筋調節因子(MRF※2およびミオシン重鎖の発現を促進し、タンパク質分解を抑制することが挙げられます。しかし、過剰摂取はこのような改善効果を低下させる可能性があり、適切な摂取量の重要性が示唆されます。これらの知見は、MCFAの筋機能および代謝改善における潜在的な応用可能性を示すとともに、用量管理の必要性を強調しています。

用語解説

※1 β酸化 

β酸化は、生体内における脂肪酸分解代謝の一部であり、脂肪酸が細胞のミトコンドリア内で段階的に分解され、アセチルCoAに変換される過程を指します。 

※2 筋調節因子(MRF 

筋調節因子(MRFMyogenic Regulatory Factors)とは、筋発生および筋分化の過程を制御する中心的な転写因子群です。 

論文情報

雑誌名: Int. J. Mol. Sci. 

論文名 Long-Term Moderate Increase in Medium-Chain Fatty Acids Intake Enhances Muscle Metabolism and Function in Mice 

執筆者名・所属機関名張子薇(早稲田大学)、呉聡(早稲田大学)、黄嘉鵬(早稲田大学)、王碩(早稲田大学)、童奕珊(早稲田大学)、薛楮文(早稲田大学)、曹鉄瀚(早稲田大学)、鈴木克彦(早稲田大学) 

Publishment DateLocal Time):2025426 

Publishment DateJapan Time):2025426 

(オンライン掲載の場合/For online publication 

URL: https://www.mdpi.com/1422-0067/26/9/4126 

DOI: https://doi.org/10.3390/ijms26094126 

研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

研究費名:なし

研究課題名:なし

研究代表者名・所属機関名:なし

 

鈴木 克彦

研究者詳細 – 鈴木 克彦