Waseda Institute of Political Economy早稲田大学 現代政治経済研究所

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1月30日社会行動と言語選択研究部会セミナー「第二言語の音素習得に限界はあるか?」発表者:近藤 眞理子

下記の日程で今年度第4回研究会を開催いたします。

皆様のご参加をお待ち申し上げます。

 

日時:1月30日(水)10:40-11:40

Time  Wednesday, January 30, 10:40-11:40

 

場所:早稲田大学7号館2階 7-201教室

Venue Room 7-201

 

発表者:近藤 眞理子(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授)

Presenter Mariko KONDO (SILS, GSICCS)

 

司会:生駒美喜(早稲田大学政治経済学術院教授)

Facilitator Miki IKOMA

 

タイトル:

第二言語の音素習得に限界はあるか?

‐/l/と/r/なんか怖くない!でも落とし穴が。。。-

(講演言語:日本語)

 

第二言語(L2)の音声習得は、第一言語(L2)の音素体系や個々の分節音の調音等の影響があり、決して容易ではない。日本語母語話者の分節音の習得に関しては、これまで様々な研究がなされてきているが、とりわけ英語の流音の/l/(歯茎側面接近音)と/r/((後部)歯茎接近音)はどちらも歯茎接近音で、調音的にも音響的にも比較的近く、日本語話者にとって最も区別が難しい音素対立の一つであり、生成と知覚の両面から数多くの研究が行われてきた。しかし、Flege (1995)のSpeech Learning Model (SLM)やBest (1994)のPerceptual Assimilation Model (PAM)等に代表される昨今の新しい 第二言語音声習得モデルに基づいた研究では、L1の音と音声的に近くないL2の音のほうが“新しい範疇の音(new phonetic category)”を形成するため認識されやすく、習得もされやすいという結果が報告されている。つまり、英語の接近音の/r/は円唇と舌を引き込む(tongue retraction)という日本語の子音にない調音特徴を持ち、日本語のどの子音とも音声的に異なるため、日本語話者にとって新しい音・異なる音と認識されやすい。それゆえ日本語話者は、必ずしも英語の/l/と/r/をそれぞれ音素として認識しているとは限らないが、/r/は「日本語と異なる音」、/l/は「日本語のラ行の子音(歯茎はじき音)のような音」と両者を“区別”しているらしく、知覚・生成ともある程度はできているという結果が複数発表されている (Flege et al. 1995, Guion et al. 2000, Aoyama et al. 2004, Hattori & Iverson 2011等)。

本発表では、これまでのL1日本語話者のL2英語音声発話コーパスの調音エラー分析、日本語話者によるL1英語話者のL2日本語の発音の真似、日本語母語話者のアメリカ英語の流音の知覚等の結果を交えて、(1) SLMやPAM、またSecond Language Perception Model (L2LP) (Escudero & Boersma 2004 & 2009) 等に基づいた、近年の日本語母語話者のL2アメリカ英語音声習得研究の再検証と、 (2) L2音声教育で到達可能なL2音声習得と、そのL2音声習得がどの程度確実で強固なものか、つまり音素として習得されているか、また (3) 昨今の世界英語(World Englishes)を見据えた、様々な英語方言や多様なL2英語音声への対応、(4) 英語以外の他の外国語(L3)の流音の習得との関係等、流音/l/と/r/の習得を中心に、現在進行中の研究の結果を交えて報告する。

 

「社会行動と言語選択」研究部会

(代表:生駒美喜)

Dates
  • 0130

    WED
    2019

Place

早稲田大学7号館2階 7-201教室

Tags
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