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日本・EU議員シンポジウム 「日本とEU:共通の課題と協力の可能性」が開催されました

9月25日、日本国国会議員と欧州議会議員が日本とEUの共通の課題と協力の可能性について議論をするシンポジウムが、駐日EU代表部(ヨーロッパハウス)にて開催されました。本シンポジウムは日本-EU友好議員連盟、欧州議会対日交流議員団、駐日EU代表部、そしてEUIJ早稲田が共催で行ったものです。会場参加議員も含め、日本側からは6名、欧州側からは4名の議員が参加しました。

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シンポジウム冒頭、イスティチョアイア=ブドゥラ駐日欧州連合大使が開会の挨拶を述べました。日本とEUの協力はかつて貿易や投資だけに限定されていましたが、今ではその政策分野は大きく拡大したことに触れ、本日の登壇者が日本とEUの共通の課題と協力の可能性について新たな視点を提供してくれるであろうことに期待を寄せました。

第1セッションの冒頭では、中村英俊EUIJ早稲田副代表より、まずは日本-EU友好議員連盟会長である小坂憲次参議院議員の協力により本シンポジウムが開催に至ったことについて、謝辞が述べられました。

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第1セッションは、日本とEUの共通の課題である少子高齢化や移民、女性の活躍について議論が行われました。

まず小池百合子衆議院議員は、日本の人口減、高齢化および女性の社会進出に関する現状を示し、女性初の防衛大臣に任命された際のエピソードも紹介しました。移民に関しては、日本がまだ受け入れ準備が整っていないこと、しかし自身がトルコにシリア難民のための小学校を建設したことを例に挙げ、日本は教育などの分野で協力できることを強調しました。

欧州議会対日交流議員団団長のペトロ・イェゼック議員は、経済に影響を与える人口問題を取り上げました。EUの対応やチェコにおける現状を紹介しつつ、難民受け入れ問題について、シリア難民の10人に1人が労働市場に参加できていないなどの難点もあり、出生率を上げる重要性を強調した。

EU側からの女性登壇者であるロマーナ・トムツ議員は、EUでは人口高齢化という共通の問題に直面していながら各国が異なる年金制度を採用していることを指摘し、EUが全体としてチェックをするシステムが必要であると提案しました。また同時に、人口高齢化と年金受給者増加の問題は結局、それを支える経済規模の維持と雇用を拡大することが重要であるとも指摘しました。さらに女性の活躍について、スロベニア政府内には19名しか女性がいないことを紹介した。トムツ議員自身はクォータ制には反対だが、最初の一歩にはなるかもしれない、と自身の見解を述べました。

中川正春衆議院議員はトムツ議員のクォータ制に関する見解を受け、自身はクォータ制を進める超党派議員連盟会長を務めていると自己紹介しました。男女機会均等ランキングでは日本は世界で104位と、なかなか女性の参画が進まない状況であり、クォータ制導入の必要性に理解を求めました。また経済問題については、投資を呼び戻すためにも、人口問題への政府としての対応を明確に示す必要があると指摘しました。さらに移民問題については、日本がこれまで正面から取り上げ議論してこなかった点を指摘し、どこからどのような形で受け入れるのかなど、コンセンサスをつくりあげるための議論を行う必要があるとして、移民基本法の制定を提案しました。

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第2セッションは日本とEUの協力について、主に戦略的パートナーシップ協定(SPA)および自由貿易協定(FTA)/経済連携協定
(EPA) (*EU側はFTA、日本側はEPAと称している)について議論が行われました。

まず中川正春議員は、金融政策の視点から問題を提起しました。またグローバル企業がどこで税を納めるのかについて制度化する必要性についても指摘しました。

ペテルレ議員は現在交渉中であるSPAについて、その必要性をよりよく理解してもらいたいと希望を述べたうえで、なかでも人口高齢化にともなう保健医療分野の協力の可能性を強調しました。

シルバ・ペレイラ議員からは、さまざまな難しさが伴うものの、これらの協定は日本とEUそれぞれのGDPを0.7-0.8%押し上げるという研究があり、効果が大きいことを強調しました。

石原伸晃衆議院議員は、難民の受け入れに関して各国の反発をおさえてEUとしての対応を決断したことに対して敬意を表しました。経済連携に関しては、共通の価値を重視する国々が共に繁栄するための障壁を改めるのは当然であるが、同時に、EU28ヶ国および日本は、それぞれ得意分野や守るべきものが異なるという難しさもあることをも指摘しました。一方で、医療や文化など新たな協力の分野の可能性も広がっており、日本とEUの今後の協力の深まりに期待を示しました。

最後に中村英俊副代表は第2セッションが締めくくりとして、日-EU友好議連は1970年代から始まった歴史ある交流であると紹介しつつ、交渉中の協定が早期に締結されることへの期待が示されました。

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シンポジウムの最後に、日本・EU友好議員連盟事務局長の後藤田正純衆議院議員は、モノの時代からコトの時代へと成熟国家に転換した日本とEUが、さらにそのような視点で経済連携を進めていくべきである、と遠方より来日した欧州議員への感謝の辞を述べました。

 

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