部会名:現代経済学研究部会(部会主任:須賀 晃一)
日 時:5月15日(金)(16時30分から18時00分まで)
場 所:早稲田大学 早稲田キャンパス3号館306教室
テーマ:行動経済学はパターナリズムを正当化するか?
発表者:若松良樹氏(学習院大学法務研究科 教授)
対象:学生・教職員・研究部会員・一般
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政治経済学術院の学部生,大学院生,教員の皆様:
若手研究者育成プロジェクトの講演会第2回目を開催します.今回は,学習院大学の若松良樹先生にご登壇いただきます.報告論題にある行動経済学とは,近年さかんに研究が行われている経済学の1分野です.標準的な経済学では個人を合理的な選択のできる主体と仮定して精緻な経済理論を構築してきました.その論理的帰結の1つがいわゆる消費者主権という考え方であり,政府は個々の消費者の自由な選択にできるかぎり介入すべきでないというものです.しかし実際には私たちの行動に対する感情や心理的要素の影響を無視できません.行動経済学はそういった要素を考慮する新しい理論構築の試みであり,非合理な消費者行動にどんなパターンがあるか,さまざまな実験によって検証がなされています.もしも消費者の行動が感情や心理的要因に左右されるなら,社会的に見たとき必ずしも望ましい選択が行われる保証はありません.だとすれば,何らかの形で政府が消費者の選択に介入した方がいいという考え方も生まれてくるでしょう.そういう考え方はパターナリズム(温情主義)と呼ばれます.果たして,行動経済学の見地から政府が個人の選択に介入することが正当化されるかどうか.正当化されるなら,いったい,どこまでの介入が許されるのか.政府の守備範囲,政策のあり方を考える上でとても重要なテーマです.前回と同様,経済学の基礎知識はほとんどなくても十分に理解し考えることのできる講演になると思います.どうぞ奮ってご参加ください.
(プロジェクト担当:政治経済学術院教授,小西秀樹)
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