現代政治経済研究所セミナー(ハイブリッド形式)を開催します。
奮ってご参加ください。
参加ご希望の方は10月10日(火)までに以下のgoogleフォームからお申込みください。
尚、セミナー終了後に報告者を囲んで懇談(ランチ付き)を予定しています。
懇談への参加を希望される方はその旨ご記入ください。
申し込みフォーム
https://forms.gle/9m8sFA8qckGLzNva6
報告者 : 齊藤 誠氏 (名古屋大学教授)
テーマ : 国際環境の変化と財政金融政策の転換:財政規律の棚上げと遵守の対立をこえて
配布資料: 国際環境の変化と財政金融政策の転換
開催日時: 2023年10月17日(火)10:40-12:20
対面会場: 早稲田キャンパス3号館10階 第一会議室
形式 : 対面/オンライン(Zoomリンクは当日までにご連絡します)
対象 : 早稲田大学教員・大学院生・現政研研究所員
言語 : 日本語(Language:Japanese)
要旨
インフレの進行と長短金利の上昇というグローバルな経済環境の変化で、日本の財政金融政策は困難な選択を迫られている。一方では、金融緩和からの転換や財政規律の回復が主張されている。特に、イールド・カーブ・コントロールの撤廃論が盛んとなり、長期金利の上昇を見越して財政規律の回復論も目立ってきた。他方では、金融緩和政策からの転換や財政規律の回復には、反対論も根強い。しかし、いずれの政策論でも、過去四半世紀以上、デフレ脱却に失敗してきた経緯が振り返られることはほとんどない。
本研究報告では、まず、マイルドなデフレ過程によって、過去30年あまり、①あからさまな財政規律の棚上げでも物価や金利の高騰が起きなかったこと、②大規模な財政政策でも家計消費が促進されなかったこと、③異例な金融緩和政策でもインフレ目標が達成されなかったことが見事に説明されることを明らかにする。こうしたマイルドなデフレ過程は、財政規律の回復や金融政策の正常化の状態に徐々に戻っていく自己修正能力が備わっておらず、内外の金融危機、大震災、感染拡大に接してもきわめて頑健であった。
以上のようなマイルドなデフレ過程の特性を踏まえると、「昨今のグローバルな経済環境の激変がマイルドなデフレ過程を覆すのか」が、重要な政策的な論点となってくる。本報告では、発生頻度の大小にとらわれることなく、できる限りのシナリオを検討し、日本経済が真の意味でデフレから脱却し、再出発できる隘路を見出していく。
なお、本報告は、『財政規律とマクロ経済:規律の棚上げと遵守の対立をこえて』(2023年10月上旬刊行、名古屋大学出版会)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784815811365
に基づいている。
連絡先:鎮目雅人(masato.shizume<アットマーク>waseda.jp)