研究代表者
山内 兄人
YAMANOUCHI Korehito
人間科学部教授
本プロジェクトの概要と目的
脳の性分化は人間では胎児期に、実験動物であるラットは胎児期から新生時期にかけて、性ステロイドホルモンの影響下で生じる。脳の機能で性差が顕著なものは生殖に関わるものである。女性では周期的な生殖腺刺激ホルモンの分泌が生じるが、男性では一定量のホルモンが分泌されている。これは間脳の機能に性差が生じているからである。また、ストレスに対する強さなどにも違いがあるとされる。さらに、実験動物では性行動パターンに雌雄の顕著な違いがあり、脳の間脳、大脳辺縁系の性差により生じている。そのような脳の違いを明らかにし、また性差が生じる機序を調べるため、ラットを使って、神経内分泌的、発生学的、また、解剖学的に研究をすすめるのが本プロジェクトの目的である。
今まで11年間のプロジェクト(性、性と生殖)研究において、雄ラットが雌型性行動(ロードーシス)をしないのは、外側中隔中間部(LS)における強力な抑制力があるためであり、中脳の中心灰白質に神経投射をしている中隔細胞がその働きをしていることを見つけている。さらに、母性行動の神経制御の性分化や、性分化における脳の時計機構の役割、雌脳に特有な排卵のメカニズムとストレスなどの研究がすすめられてきた。これらの研究に対して、1999年より文部科学省から学術フロンテア研究拠点として認められており、2004年、2005年と継続する。その研究遂行のための第3種プロジェクトである。

プロジェクト期間
2004年4月~2007年3月