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From the Director
所長挨拶
人間総合研究センター所長 赤沼 哲史

人間とはどのような存在なのか。私たちはどこから来て、どこへ向かうのか。生物の進化を研究している私にとって、身近でありながら、簡単には答えられない問いです。人間も長い進化の歴史をもつ生物ですが、文化を育み、社会を築き、ときには環境を大きく変えてきました。科学技術は新たな可能性を広げてきましたが、地球環境の変化や紛争、格差や差別など、現代社会には難しい問題が山積しています。人間科学総合研究センター(人総研)は、人間と人間を取り巻く環境への探究心を大切にし、新たな発見と社会課題の解決に貢献することを目指しています。
人総研は、人間科学部・人間科学研究科とともに人間科学学術院を構成しています。その研究・教育の特徴は「学融合」にあります。人間を理解するには、生物としての特性だけでなく、心理、行動、文化、社会など、さまざまな側面から捉える必要があります。異なる分野の研究者との対話を通して、これまで思いつかなかった問いに気づくこともあります。人総研では、幅広い分野の研究者の知見や研究手法を結集した研究プロジェクト方式による学融合的な研究を進めています。
研究は、初めから役に立つことか分かっているものばかりではありません。むしろ、「なぜだろう」「知りたい」という純粋な疑問から始まった研究が、長い年月を経て思いがけない発見や社会の変革につながったこともあります。すぐに成果が見えなくても、研究者が自分の問いを追求できる研究環境を、人総研は大切にしたいと考えています。
人総研では、学外機関との受託研究・共同研究に加え、所沢キャンパスが位置する埼玉県所沢市をはじめ、全国のさまざまな地域との連携を進めています。地域の人々や組織と対話し、ともに考えることは、研究に新しい視座をもたらします。研究成果を社会に還元するだけでなく、社会との関わりから新たな研究が生まれることにも期待しています。
次世代を担う研究者の育成も、人総研の大切な役割です。学部生に研究の面白さを伝え、大学院生に安心して研究に打ち込める場を提供し、アーリーキャリアの研究者が新しいことに挑戦できる環境を用意したいと思います。人総研では、異なる分野の若手研究者が協働する研究プロジェクトへの支援や、研究助成金の申請書執筆に関するレクチャーなどを通じて、次代の研究者の育成に取り組んでいます。
異なる知識や考え方が出会うことで、思いもよらない発見が生まれることがあります。何が生まれるかやってみないと分からないことも研究の面白さです。人総研は、研究者一人ひとりの自由な探究心を尊重し、専門分野や大学という枠を越えた協働を通じて、人間と社会の新たな可能性を探ってまいります。
(2026年9月21日)