本建物(2号館)は当初、図書館として建てられたものです。現在の常設展示室はかつて大閲覧室として使用されていました。図書館にきた学生たちはこの「名著大作」額に迎えられ閲覧室に入ったことになります。
1998年に博物館としてリニューアルされて以来、會津八一の学問理念である「実學論」の扁額がここには掲げられていますが、このたび、特別展示として26年ぶりに「名著大作」額を展示いたしました。
この「名著大作」という4文字は、中国山東省の名山として有名な泰山のふもとの磨崖に刻まれた「金剛経」の拓本から集められたものです。1文字が30センチ四方もあり、北斉(6世紀)頃に彫られたものとされています。
明治36年、漢学者の松平康國本学教授(1863〜1945) は、中国山東省に滞在し泰山に登り、その際に「金剛経」拓本を入手しました。帰国後、当時の図書館長であった市島謙吉(春城)に帰国土産としてこの拓本を 渡したところ、市島は非常に喜んだと言います。図書館に掲げる額を探していた市島は「金剛経」の中から苦心して図書館にふさわしい言葉を探しだし、額装し て飾りました。この文字の書き手は不明ですが、おおらかで気宇壮大な趣をたたえた書といえましょう。
- 期間
~2018年1月20日(土) - 会場
早稲田大学早稲田キャンパス2号館 會津八一記念博物館2Fホール - 時間
10:00~17:00(入場は16:30まで) - 今年度の開館日はこちらから