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西早稲田キャンパスに“給油”を! 油そば「石油王」を開業した早大生

「早稲田の“五大油田”を目指して、早大生のおなかを満たしたい」

基幹理工学部 3年 田代 蒼太(たしろ・そうた)

西早稲田キャンパスの中庭で。「早稲田油そば 石油王」キッチンカー前に立つ田代さん

2026年5月、西早稲田キャンパスに、ガソリンスタンドを思わせるキッチンカーが登場しました。油そば専門店「早稲田油そば 石油王」(以下、「石油王」)です。メニューは現在「レギュラー」と「軽油」の2点(上記写真にある「ハイオク」は開発中)で、早大生の“給油”(※)文化に着想を得た、早稲田らしいコンセプトが目を引きます。代表を務めるのは、基幹理工学部の田代蒼太さん。食べ歩きを愛しているという田代さんに、開業までの道のりや味へのこだわり、今後の目標を聞きました。

※ 早大生特有の言い方で、早稲田大学周辺で油そばなど脂っこい食事をすること

――「石油王」を始めたきっかけは何ですか?

おいしいものを食べるのが大好きで、年に600軒くらいの飲食店を巡っています。その趣味が高じて、グルメ系サークル「早稲田美食俱楽部」を2025年に自分で立ち上げ、初代幹事長を務めました。サークルは発足後150人ほど在籍し、「石油王」のアルバイトもそのつながりで協力してくれています。

2025年4月、「早稲田美食俱楽部」の新歓の様子

「石油王」を共同で立ち上げた加藤大志さん(基幹理工学部3年)とも、そのサークルで出会いました。加藤さんはラーメンがとても好きで、2026年2月頃に「一緒にキッチンカーで店を出そう」と二人で動き始めたんです。

西早稲田キャンパス周辺には油そばを食べられる店が一つしかなく、いつも行列になるので、昼休みに気軽に行ける油そば店がない状況。早稲田キャンパス周辺には油そばの店がたくさんある一方、理工の学生は食べたくてもなかなか食べられないため、需要があるのではないかと考えました。

左から、一緒に店を立ち上げた加藤さん、代表の田代さん、アルバイトの藤村さん(政治経済学部2年)

――出店までに大変だったことはありますか?

一番大変だったのは、キッチンカーの出店です。最初は大学側に学内での出店をお願いしたのですが、断られてしまい…。3月頃は場所を大学周辺に変えて探し回り、出店したい駐車場があって不動産屋、駐車場の管理会社、大学の関係部署の三者共同で打ち合わせをするところまでこぎつけました。

しかし、契約や決裁に思った以上に時間がかかり、またしても出店が難しくなり再度挫折。出店できると思って既にキッチンカーを半年契約で借りてしまっていたので、出店できないままお金だけを払い続けることになってしまうと思い、すごく焦っていました。そんな中、理工学術院事務所の方々がこちらの熱意をくんでくださり、7月末まで西早稲田キャンパスで出店できるようになりました。許可をくださった職員の皆さんには、本当に感謝しかないと思っています。

2026年5月13日開業当日、キッチンカー前にできた長い行列。田代さんは「予想以上の反響に驚くとともに、地道な取り組みが報われ、理工生の油そばへの期待の大きさを実感した」と話す

――「石油王」のコンセプトや、こだわっているポイントを教えてください。

早大生の間には、“給油”と呼ぶ独特の文化があり、そこから、ガソリンスタンドをモチーフにしたキッチンカーをつくろうと考え、「石油王」という屋号を付けました。加藤さんと出店場所を探して大学周辺を回っていた時ガソリンスタンドを見かけ、「メニューを『レギュラー』『軽油』『ハイオク』にしたらどうか」という話が出て今に至ります。

特にこだわっているのは麺です。油そばというと太麺のイメージが強いですが、「石油王」ではあえて細麺でチャレンジしました。少し硬めで歯ごたえの良い、いわゆる“パツパツ”とした食感を生かすために選んだのが、ミシュランガイドに掲載されたラーメン店でも使われている菅野製麵所の麺。「石油王」のための特製麺を、毎日埼玉県の奥地から運んできてもらっています。送料だけで5,000円くらいかかりますが、それでも麺にはこだわりたいんです。さらに、かえし(タレ)や油の配合はラーメン好きの加藤さんが試行錯誤し、トッピングも麺との相性を考えて決めました。何度も試作をくり返し、重すぎず食べやすい味を目指し、早稲田キャンパス周辺のがっつりした油そばと少し違う一杯を届けたいと思っています。

「レギュラー」800円(左)と「軽油」750円(右)。レギュラーは、炙り豚や低温調理の豚肩ロースに、紫玉ネギやガーリックチップを合わせたしょうゆベース。軽油は、アンチョビや白髪ネギ、レモンを添え、乾物の旨味を生かした塩ダレベース

――学業との両立で心掛けていることや、大学での学びとのつながりはありますか?

学内に出店させていただいている以上、学業をおろそかにはできません。自分自身も含めスタッフ15人の授業に支障が出ないように、全員の時間割をExcelにまとめてシフトを組んでいます。営業中も、3限があるスタッフには13時までにまかないを食べてもらうよう、アラームをかけて管理しています。

学びとのつながりでは、2年生で受講した「キャリアデザイン」(基幹理工学部設置科目)という授業で、料理を数値化・グラフ化し、定量的に考えるというプレゼンテーションをした経験が役に立っています。うま味や塩味、甘味のバランスを工学的に考える視点は、今の味づくりにもつながっていると感じています。

また、研究室の先生が「石油王」に食べに来てくださり、「おいしいよ。油そばをテーマに論文を書いたら? 」と言ってくださったことも。具体的にどう研究するかはまだ決めていませんが、料理と工学を結び付けるような研究にも興味があります。

――そもそも、なぜ早稲田に進学しましたか?

早稲田を選んだ理由の一つは、基幹理工学部表現工学科が、工学と芸術を融合させたような学科だったからです。理系の学びをしながら、芸術や表現といった文系的な分野にも触れられるので、一つの領域だけにとどまらない学びができるところが魅力だと思います。

その魅力を実感している授業の一つが、是枝裕和先生の「映像制作実習」(基幹理工学部設置科目)です。台本を書いて提出し、先生からフィードバックをいただきながら作品づくりについて学んでいく授業ですが、毎週のように台本を出すのが本当に大変です。時には厳しい指摘をいただくこともありますが、ここでしかできない学びだと思うので、楽しく受けています。

取材を受ける田代さん。アルバイト先の尊敬する師匠が両頰に2本線を入れているのに倣い、「自分はまだ半人前」という戒めを込めて片頰だけに2本線を描いているそう

――最後に、今後の目標をお願いします。

まずは、新メニュー「ハイオク」を完成させることです。みそベースに背脂を合わせ、上にバターを乗せるような、濃厚で満足感のある油そばを考えています。そして、卒業まで店を続けたいですね。キッチンカーか、別の形になるかもしれませんが、「石油王」が早大生のおなかを満たす場所であり続けたいと思っています。

早稲田には、昔から親しまれている油そば店がいくつもあります。いつか「石油王」もそこに加わり、“五大油田”と呼ばれる存在になれたらうれしいです。ぜひ西早稲田キャンパスで“給油”して、いつもと違う油そばを楽しんでもらいたいです!

第932回

【プロフィール】

京都・祇園の餃子名店「泉門天」での一枚

埼玉県出身。埼玉県立浦和高等学校卒業。趣味は食べ歩きで、台風の日にも人気ラーメン店に並ぶほど。お勧めのワセメシは「てんぷら 高七」、「味噌らーめん屋 ちょりん」。

Instagram:@waseda_sekiyuoh

早稲田が分かる大学公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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