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子供のころからの夢に向かって 社会に役立つロボット開発を目指す

「問題の解決手段として、ロボット技術を使える研究者になりたい」

大学院創造理工学研究科 博士後期課程 1年 斎藤 菜美子(さいとう・なみこ)

昔からロボット研究が盛んな早稲田大学。連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年、NHK総合)に登場した人間型のロボット(ヒューマノイドロボット)も、1984年に早稲田で開発されたロボット「WABOT-2」がモデルとなりました。 大学院創造理工学研究科に在籍する斎藤菜美子さんは、日本学術振興会特別研究員(DC1)(※)であり、精力的にロボットに関する論文を発表しています。ロボット研究に魅力を感じたきっかけや今まで研究してきたこと、これから目指す研究者像などについて聞きました。

(※)特に優れた能力を有するとして、日本学術振興会に採用される研究員。研究奨励金および研究費が支給される。

――ロボット研究に興味を持った経緯を教えてください。

最初のきっかけは、中学生のころにテレビでたまたま流れていた「NHK学生ロボコン」を見たこと。漠然とかっこいいな、将来こういうことをやってみたいな、と思いました。その後高校生になり、神奈川工科大学が開催したサイエンスキャンプ(文部科学省主催、現在は終了)に参加し、ロボットのプログラミングを体験したときに、ビビッときて…(笑)。そこからロボットを作る道に進みたいと思うようになりましたね。また、高齢者にとって、家事などの日常作業が負担であることを、介護士の父から聞いていたこともあり、ロボットを開発することで、お年寄りの役に立てるのではないかとも考えていました。つまり個人的に関心を持ったことと、社会的に果たしたい役割が合致した感じです。

――高校までに具体的な将来像を持って、早稲田大学に入学されたのですね。

2019年12月に参加した国際学会での発表の様子

将来ロボットを作りたいと思ってから、自ら情報を入手していたのですが、そのとき偶然出合ったのが、高西淳夫教授(理工学術院)をはじめ、何人かのロボット研究者が、業界の現状と未来を語る内容の本『ロボット業界最前線の28人が語る! ロボットの現在と未来』(鴨志田英樹編著/エクスメディア)でした。それを読んだことをきっかけに、ロボットを開発している大学の研究室を調べたところ、早稲田はロボット研究を強みとしていることが分かりました。そこから早稲田に行きたいと思うようになったんです。

その後、西早稲田キャンパスのオープンキャンパスに参加し、工場のようなところだと思った一方で(笑)、居心地がよく、設備も整っていると感じました。実際、研究に携わるようになってからも、実験環境や研究施設、蔵書、予算などが充実していると実感しています。また、日本での「ロボット開発の父」と呼ばれる故・加藤一郎教授(当時の機械工学科)の教え子が、早稲田の教授として多く活躍されており、良い先生にも恵まれています。

――現在取り組んでいる研究内容について教えてください。

現在は菅野研究室に所属し、人と共生するロボットを開発しています。特に人工知能(AI)を使ったロボットの制御方法の研究をしていて、道具の意味を理解して使いこなせるロボットの実現が目標です。

一例として、おたまやフライ返しを使い分けて、食材をよそうロボットです。このロボットはまず、対象となる食材の特徴(形状や柔らかさ、重さなど)を把握した上で、よそうためにふさわしい道具を自ら選出します。そして、その道具を用いた適切なアプローチの仕方(角度や力の加減など)を判断し、実行することを目指しています。まだ基本的な動作しかできていませんが、将来的には介護現場などで使われる、人の役に立つロボットに成長させたいです。

(左)「道具とは何か」をロボットに教えるため、T字型の道具を使ってボールの操作をさせる
(右)おたまを使って牛乳を器に移しているロボットの様子

――これまで研究をしてきて感じた、ロボット研究の面白さや難しさはどのようなところでしょうか。

一番面白いのが、課題に対してさまざまな解決方法があるという点ですね。例えば、プログラムを修正をする方法だけでもさまざまな種類がありますし、他にもモーターなどの部品を変えるのか、それともロボット内の回路を調節するのか…本当に多くのやり方があります。解決に向けたステップを考えて、実際に試すことを繰り返す、その試行錯誤が面白いんです。ただ、ロボットがうまく動かない原因を探すには、さまざまな知識や技術、そして根気強さが必要であり、そこが研究の一番難しい点とも言えます。いくつもの方法を試して、たくさん失敗をして、それを乗り越えて自分の思い通りにロボットが動いたときは、本当にやりがいを感じますね。

――これまでに何度か、ロボット開発を通じて海外交流をしたと聞いています。

ロボコン世界大会に出場した各国の選手たちと

ロボット開発に関連して、2回海外に滞在しました。1度目は学部2年次に、当時所属していたROBOSTEP(公認サークル)の活動でインドネシアに行ったときです。このときは、NHK学生ロボコンで国内優勝を果たし、世界大会に出場することが目的でした。アジア各国の代表が集まり試合をしたのですが、国によってロボットの特徴が大きく異なるんです。技術が飛び抜けているものや、パワーで押していくもの、見た目はボロボロなのになぜか強いものもあり、面白かったですね。1週間の大会期間中に、他国の方から技術を教えてもらうこともありました。

2度目は修士2年次に、ICT・ロボット工学拠点(※)の海外派遣制度を利用して、イタリアで共同研究を行ったときです。この際イタリアの国立研究所(Italian Institute of Technology)に滞在したのですが、そこの技術と設備を使わせていただきながら、4カ月間研究を進めました。英語を使った意思疎通も難しかったのですが、考え方が日本と異なる点も大変でした。研究条件が少々曖昧だったり、時間にもルーズだったりと、苦労しましたね。一方で、研究とプライベートの切り替えがはっきりしている点など、日本には無い良いところもたくさんあり、本当に良い経験ができました。

(※)機械系と情報系の連携をキーワードに、研究力強化を目指すプログラム。

イタリアでの様子。(左)実験中のロボット。ピザに見立てた粘土をピザカッターで切らせている (右)留学先で研究室のメンバーと

――今後はどのような研究者を目指してゆきたいですか。

博士課程修了後は、メーカーの研究職に就きたいと思っています。今よりも自分が社会の役に立っていると実感できる仕事がしたいんです。社会に役立つロボットを作りたいという気持ちはずっと変わっていませんが、専門分野のみに没頭する研究者になりたいわけではありません。人文科学など幅広い知識を取り入れながら、問題の本質を見極め、課題の解決方法を構想し、困難を突破する手段としてロボット技術を使える研究者を目指したいですね。

――最後に、学生にメッセージをお願いします。
ロボットに興味があるかは関係なく、知っている世界を広げることと、興味を持ったことに積極的に挑戦することは、ぜひ心掛けてほしいです。まずは知識がないと、自分に何ができて、何がしたいかも分からないので、アンテナを張って情報に敏感になってほしい。例えば人と話したり、本を読んだり、オンラインで勉強会に参加したり…。そうして情報を集めた上で、ちょっとでも気になることがあれば調べて、できそうなことがあれば挑戦してみることが大切だと思います。自主的に行動すると、回りまわって将来自分の役に立つときがきっと来るはずです。

第772回

【プロフィール】
群馬県出身。豊島岡女子学園高等学校卒業。総合機械工学専攻の菅野研究室および実体情報学コースに所属。ゲームが好きで、最近は「あつまれ どうぶつの森」にハマっているという。専攻はロボット工学だが、修士課程で履修した社会学の授業を担当していた森欣司教授(当時グリーン・コンピューティング・システム研究機構所属)と台湾の街づくりに関する論文を執筆・投稿したことも。

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