Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

日本に入国できない留学生の生活 午前3:30開始のリアルタイム授業も

世界の累計感染者数が1,400万人を超え、現在もなお猛威を振るっている新型コロナウイルス。早稲田大学には年間約8,000人の留学生が在籍していますが、その多くが春休み中に帰国したまま日本に入国できずに、自分の国で暮らしながらオンライン授業を受けています。今回は米国、台湾、インドに住む3人の留学生に、現在自国でどのように過ごし、授業を受けているのかレポートしてもらいました。

(左から)國井マクドナルド紗良さん(米国)、張文越さん(台湾)、レヌカ・クルカルニさん(インド)

時差13時間、5限の授業終了は午前5時

米国在住
社会科学部 1年(2019年秋入学) 國井 マクドナルド 紗良(くにい・まくどなるど・さら)

米国・マサチューセッツ州の感染状況や対策、現在の様子

マサチューセッツ州(人口約690万人)は米国で最も大きな被害を受けている州の一つで、6月19日現在、新型コロナウイルスの感染者数は10万人以上に上ります。私が住んでいるボストンは、3月中旬からロックダウン(都市封鎖)していましたが、現在は、お店やレストラン、公共エリア、および一部のオフィスが安全策を講じて再開し始めました。それでも、多くはまだ閉鎖されたままです。4月初めにダウンタウンへ行ったときには人や車も少なく、ほとんどの人が州の規則となったマスクを着用していました。少し前まで米国でマスクをすることは一般的ではなかったため、かなり衝撃的な光景でした。

また、6月初旬にはBlackLivesMatterの抗議デモで破壊や略奪行為があり、ボストン中心部のお店のあちこちで、粉々になったガラスが散乱していました。これまでボストンは比較的平和な街だと思っていたので、州兵が街をパトロールしていることに驚きました。ここ数週間、コロナの自粛と残虐行為問題による緊張の日々が続いています。ボストンにいる私の友人の多くも、未だに自宅で過ごしながら、経済活動再開のルールに注意を払うようにしています。

(写真左)ファーマーズマーケットの入り口でもアルコール除菌を行っています
(写真右)普段なら人通りの多いボストン公共図書館付近の交差点も人はまばら(共に6月撮影)

ボストンでの生活、オンライン授業

もともと1カ月間だけ米国に帰国するつもりで、2月中旬に日本を離れました。その頃の米国は、感染を心配したり、マスクを着用したりする人は誰もいませんでしたし、お店にもまだ消毒液やトイレットペーパーなどの在庫は十分にありました。しかし、状況が急激に悪化して、3月中旬には米国-日本間の往来にも制限がかかってしまい、日本に戻れなくなりました。

オンライン授業を受講している様子

この数カ月間、ボストンの実家で家族と過ごし、食料品や生活用品などの買い出し以外はほとんど出掛けていません。 オンライン授業は、週10コマ受講しています。そのうち4コマはリアルタイムで、6コマはオンデマンドです。ボストンと東京の時差は13時間あるため、リアルタイム授業は夜8時以降と真夜中に受講しなければなりません。例えば、5限の授業が始まるのは午前3時30分(日本時間では午後4時30分)で、終わるのは午前5時です。授業終了後に眠りにつく「夜」は、ボストンでは既に太陽が昇り始めています。

非常にタフな状況ですが、リアルタイム授業ではクラスメイトと交流したり、今の状況を話し合ったりする貴重な時間を楽しんでいます。オンライン授業自体はとても便利ですし、先生方が私のように時差がある学生を積極的にサポートしてくれているおかげで、膨大な課題にもついていくことができています。

日本で所属しているサークルの活動

TEDxWasedaU」という学生団体に所属しています。TEDのTはTechnology、EはEntertainment、DはDesignの頭文字を取ったもので、この3分野を中心に各界のスピーカーを招き、講演会を開催しています。現在はYouTubeでのライブ配信イベントに向けて、オンラインで連絡を取り合いながら準備しているところです。

不安に思っていること、楽しみにしていること

ロックダウンによって生活が急に変わったことで、春休み中はこれからどうなるのかという不安がありました。一方、留学生の中には家族と離れ、日本に残っている友人もいます。彼らの心細い状況や不安な気持ちもよく分かりました。こうして、留学生たちがコロナ禍で直面している悩みをオンライン上で聞き、解決のサポートをできないかと、6月に友人たちと「WeSupport」というグループを立ち上げました。この準備をしているうちに、私自身の漠然とした不安も徐々にかき消されていったように感じています。

コプリー・スクエアにある画家ジョン・シングルトン・コプリーの銅像もマスクを着用

現在は不安や心配は特にありませんが、ようやく新しいライフスタイルになじみつつあるといったところです。時差に伴う睡眠不足によって授業でのパフォーマンスが低下しないよう、努力も必要です。けれども、この経験は今後の人生の糧になるという期待もしています。

今のところ、まだ日本に戻る予定は決まっていませんが、もう一度キャンパスで友人と話したり、議論したり、笑い合ったりしたいです。みんなと一緒に教室で勉強できる日を楽しみにしています。また、留学中にサポートしてくれていた学生寮WISHの仲間とも早く再会したいです。

ある日のスケジュール

天気の良い日は外でオンデマンド授業を受講して気分転換しています

  • 10:00 起床、朝食、ジョギング、ヨガ
  • 11:00 前日のオンデマンド授業の復習、課題
  • 13:00 昼食
  • 14:00 課外活動(TEDx、WeSupport)、宿題
  • 18:00 夕食
  • 18:30 仮眠
  • 20:00 1限の授業
  • 22:00 TEDxミーティング
  • 01:45 4限の授業
  • 03:15 就寝

卒業後は日本で就職したいと思っているけれど…

台湾在住
政治経済学部 4年(2016年秋入学) 張 文越(ちょう・ぶんえつ)

台湾の感染状況や対策、現在の様子

台湾は17年前のSARS(重症性呼吸器症候群)流行時の失敗の経験を生かし、国内で感染者が発生する前の1月20日には政府が新型コロナウイルス対策本部「中央感染症指揮センター」を立ち上げ、6月7日までの140日間、毎日記者会見をして感染状況を報告していました。また、政府は感染が拡大する前にマスクの海外輸出を禁止してマスクを買い上げ、国民に公平に配給する対策を実施しました。そのため、台湾ではマスクが足りないという状況はほとんどありませんでした。こうした対策により、感染者数も446人(6月23日現在、人口約2,360万人)と、他の国に比べると抑えられています。

これまで海外からの感染を防ぐために、外国籍の人は入国禁止、台湾国籍の人も帰国後14日間、隔離措置が執られていましたが、感染者数が約2カ月連続でゼロを記録し(海外で感染して入国した人を除く)、最近は一部で緩和されてきました。現在は、公共機関などソーシャルディスタンスが難しい場所ではマスクをつけなければいけませんが、それ以外は外で遊んだり、食事をしたりと、コロナ以前と同じ日常生活を送っています。

台中の街の様子。(写真左)台中駅、(写真右)多くの屋台でにぎわう夜市の「一中街」。撮影した6月は人通りが少なかったですが、最近は以前のように人が増えてきました

台湾での生活、オンライン授業

オンライン授業を受講している様子

私は2月中旬に台湾に帰国しましたが、その時の日本の感染状況はそれほど厳しくなかったので、まさか日本への入国が禁止されるとは思っていませんでした。現在は台中市の実家で、家族と過ごしています。たまに友達と食事することもありますが、ほぼ家で授業を受けたり、卒論を書いたりしています。

4年生なので、履修している授業は週5コマしかありません。オンライン授業のメリットは、先生が授業内容の動画やノートなどをオンラインでアップロードしてくれるため、自分のスケジュールに合わせて何回でも見られること、また、コメントや質問があれば、先生の話をさえぎらずにオンラインのチャットで提出できることです。逆にデメリットとして挙げるとすれば、先生やクラスメイトと直接会えないので、授業の内容に関するディスカッションや意見交流が難しいことです。

日本で所属しているサークルの活動

公認サークルではありませんが、「拿山瑪谷(ナサン・マグー)東京読書会」という社会問題について研究するグループに所属しています。主なメンバーは早稲田の現役学生と卒業生です。これまでは毎週金曜、早稲田でイベントを行っていましたが、現在は同じ毎週金曜に、研究者や専門家をお招きしてオンライン講演会を実施しています。

不安に思っていること、楽しみにしていること

現在も日本への入国が禁止されており、しばらく戻ることができません。一方で、アパートの家賃や電話料金は払わなければいけないため、とても困っています。卒業後は日本で就職しようと考えていますが、今の就活はほとんどがオンラインであること、また、今年度の新卒採用を中止した会社も多いことが、少し不安です。

入国禁止が解除され、日本の感染状況が落ち着いたら、なるべく早く東京に戻って、友達と会うことを楽しみにしています。

ある日のスケジュール

早稲田大学台湾留学生会にも所属しています。9月に無事卒業式が行われるかどうかも心配です

  • 10:00 起床
  • 11:00 卒論の執筆、授業
  • 12:30 昼食
  • 13:30 卒論の執筆、授業、勉強など
  • 17:00 運動
  • 19:00 夕食、友達と食事
  • 20:00 インターネット動画、ゲームなど
  • 21:30 家族とテレビ鑑賞
  • 24:00 就寝

日本にいる友人とオンライン勉強会を開いて共に学習

インド在住
創造理工学部 3年(2017年秋入学) レヌカ・クルカルニ

インド・マハラシュトラ州の感染状況や対策、現在の様子

私の住んでいるインド西部のマハラシュトラ州(人口約1.2億人)には、6月23日現在、136,000人の感染者が発生しています。3月25日からインド全土が封鎖され、5月までは食料品や日用品の買い物以外で家を出ることが禁じられていたほか、ほとんどのお店や飲食店、学校なども閉まっていました。6月からは、お店は短縮営業で再開し、外出もできるようになりましたが、家を出る際には必ずマスクをしなければなりません。

これまで渋滞が当たり前だった道路は、車の量が驚くほど減りました。現在もインドの学校の授業は全てオンラインで行っていますが、設備などの問題で授業に参加できていない学生もいるようです。

インドでの生活、オンライン授業

私がインドに帰国したのは3月中旬で、4月には日本に戻る予定でした。しかし、日本の感染状況もどんどん酷くなり、予約していたフライトも2度キャンセルとなってしまい、日本に入国することができなくなりました。

家の周りの様子。とても静かな住宅街です

現在は、州都ムンバイから車で約3時間のプネという町の郊外にある静かなエリアで、両親とペットの愛犬と共に暮らしています。また、近所には最近結婚したばかりの姉の家もあるので、ときどき遊びに行っています。

3年の後期に入った私は、授業は週6コマしか受けていませんが、日本とインドの時差は3時間半あり、1限があるときは午前5時に起きなければなりません。そのため、5月にオンライン授業が始まった当初は、生活リズムが崩れてしまいました。今はこの生活にも大分慣れて、通学時間のないオンライン授業を快適に受講しています。

普段オンライン授業を受けている自分の部屋

日本にいる友人たちとはZoomやLINEで勉強会を開いて、一緒に授業の予習や研究室の勉強、課題などに取り組んでいます。また、SNSを通じてお互いの現地情報を交換したり、次に会えたらどんなことをするか話したりもしています。

私はまだ実験などは行っていませんが、実験のある授業を受けている友人の話によると、春学期は実験ができないため、実験のビデオを見て勉強したり、レポートを書いたりしているそうです。

日本で所属しているサークルの活動

天文同好会」という公認サークルに所属しています。普段は天体観測などの実践活動を行っていますが、現在はオンライン新歓開催に関するZoom会議に参加し、3年生の同期と一緒にブレインストーミングなどをしています。

不安に思っていること、楽しみにしていること

オンライン授業中の様子

大学の教室でクラスメイトと一緒に授業を受けることは、私にとっては留学生活の大事な部分を占めているので、春学期はとても残念です。また、秋学期からは4年生になるので、卒業論文に向けて大学で研究を始めなければなりません。しかし、現在の状況下では秋学期までに帰ることが厳しくなっていて、とても不安です。

日本で住んでいる寮ではレジデントアシスタント(RA)として、寮生のサポートや寮のイベント企画などをしています。現在は全てオンライン上で行っていますが、もし秋学期までに日本に帰れたら、寮生とまた一緒に仲良く生活するのを楽しみにしています。

ある日のスケジュール

愛犬(コッカースパニエル)のSummerと

  • 05:00 起床
  • 05:30 1限の授業開始
  • 08:40 授業終了
  • 09:00 朝食
  • 10:00 休み時間(読書、ピアノの練習、Netflix鑑賞など)
  • 12:00 昼食
  • 13:00 授業の予習、課題(友達と勉強会)
  • 15:00 研究向けの課題、勉強
  • 17:00 昼寝
  • 18:30 ジョギング(毎日1時間ほど走ることにしています)
  • 19:30 シャワー
  • 20:00 夕食
  • 21:00 犬と散歩(約30分)
  • 22:00 就寝

▼レヌカ・クルカルニさん寄稿記事(早稲田ふるさと大使)

多様性の国 インドのファッション

【次回フォーカス予告】7月27日(月)公開「春学期人気記事ランキング特集」

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