Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

他人事ではなく自分事 災害への備えは日常の中にあり

「平成30年7月豪雨」や「平成30年北海道胆振東部地震」など、今年は大きな災害が多く発生しています。こうした災害のニュースが流れるたびに防災への意識は一時的には高まりますが、それを継続して自分事として考え、実際の行動にまで移せる人は残念ながら多くはありません。地震、火災、豪雨、土砂崩れ、洪水などさまざまな災害がある中で、防災の何から手を付けて良いか分からないということもその原因のようです。全ての災害について知り、事前対策を立てることは大きな負担となりますが、準備は大がかりなものだけではなく、日常のちょっとした工夫でできることも多くあります。

今回の特集では、皆さんと同じ学生の団体による活動や大学としての防災への取り組みをご紹介します。災害発生時に落ち着いた判断をするためにも、改めて防災に対する意識を持ち、基本事項を確認してください。

「防災」が救う未来の命 学生団体「WASEND」の防災支援活動から学ぶ

早大防災教育支援会WASEND
代表 創造理工学部 3年 勝本 靖大(かつもと・やすひろ)
創造理工学部 2年 有西 希海(ありにし・のぞみ)

有西さん(左)と勝本さん(右) 「防災のことを常に意識するのは私たちでも難しい」と語る

「日本は昔から地震の被害を受けていたのに、なぜその経験を私たちに伝えてくれなかったの?」

2004年12月26日にインドネシアのスマトラ島沖で発生した大規模地震。当時、早稲田大学理工学部の教授であった濱田政則名誉教授(現 アジア防災センター長)は、震災後に現地を視察した際、一人の少女からそのような問いをぶつけられたそうです。これを契機に、濱田氏は若年層への防災教育の必要性を強く認識し、早大防災教育支援会WASENDを設立したと言います。今回は、そのWASENDの8期生である代表の勝本靖大さんと9期生で絵本担当の有西希海さんに、活動内容や防災教育への思いを聞きました。

――普段どのような活動をしているのですか?

WASEND編集の絵本を熱心に見入るインドネシアの小学生

勝本 国内と、インドネシアを中心とした海外の小中学校や市役所などで、子どもたちへ向けて防災の授業を行っています。夏休みや春休みといった大学の長期休暇中にそうした場所へ訪問するので、授業期間中は授業内容の企画立案や制作に取り組んでいます。地震・津波・火山など、内容は10種類くらいあり、開催地の特性により変えています。早稲田大学のある戸塚地区の小学校では火事を扱いました。

有西さんがイラストを担当した絵本

 

有西 WASENDでは、各地で行う防災授業に加え、もう一つの活動の柱として防災をテーマにした絵本制作にも取り組んでいます。今年の夏に完成した『I’m not alone(ぼくはひとりじゃない)』という絵本は、スマトラ島沖地震で被災した経験を持つワヒュー・ムバラクさんへのインタビューを基に制作しました。津波によって家族のほとんどを失った経験や、被害に遭ったときにどうすれば心の復興ができるかなど、ワヒューさんの実体験を綴(つづ)ることで防災の大切さを伝えています。ちなみにイラストは私が担当しました!

――授業の内容は、国内と海外(インドネシア)だと伝え方が変わってきそうですが、具体的にはどのような内容の授業を行っているのですか?

ガラスの破片に見立てた卵の殻を踏む体験

勝本 国内では、“体験”に重きを置いた授業を行っています。例えば、「割れたガラスの危険性」を伝えるという目的の授業。ここでは、卵の殻をガラスに見立てて実際に子どもたちに踏んでもらうことで、ガラスの危険性を肌で感じてもらい、災害時に割れたガラスを目にしても慌てずに対処できるように教えています。この他にも、非常用持ち出し袋の中に入れるべきものについて子どもたちと一緒に話し合う授業を行うなど、どうすれば子どもたちに興味を持ってもらえるかを常に意識して活動に取り組んでいます。

有西 一方、インドネシアでは卵の殻などの道具を用意することが難しいので体験授業は行っていません。その代わりに、地震や津波のメカニズムを教える授業を行い、その内容をおさらいする◯×クイズを随所に織りまぜながら子どもたちに楽しく防災を学んでもらっています。活動には防災絵本も持っていき、小学校への寄贈と子どもたちへの読み聞かせを行いました。食い入るように読んだり聞いたりしてくれてすごくうれしかったです。

――お二人が活動に参加したきっかけを教えてください。

勝本 東日本大震災で防災の重要性を認識し、将来は防災に強いまちづくりに携わる仕事がしたいと考えていました。WASENDの存在は新歓の時期に初めて知ったのですが、防災教育をしているというところに興味を持ち、加入しました。1年生の夏休みに参加した愛媛県宇和島市の小学校での活動で、子どもたちに防災教育をすることの重要性と楽しさを知り、そこから活動に熱心に取り組むようになりました。

有西 私は静岡の沿岸部に住んでいたので、南海トラフや津波への防災には敏感でした。小学生の頃に5年間インドネシアに滞在していたこともあったので、その場所や人々のために貢献できるのはありがたいなと思い、活動に参加しました。

――同年代の人にも防災に興味を持ってもらうためにはどうすればいいと思いますか?

絵本の舞台となったアチェ県の知事と面会。絵本を寄贈し防災教育に役立ててもらっている

有西 誰しもが、実際に地震が起こったときや大震災のあった日付になると防災を強く意識するのですが、時間がたつと記憶は風化してしまいます。できるだけそうならないようにするのが、私たちが防災教育を行う意義だと思っています。

勝本 そうは言ってもやはり防災に興味を持ってもらうのは難しいことなので、被災者や体験者側からのアプローチも重要だと思っています。私も、WASENDの活動の一環で聞くことができた東日本大震災で被災した方のお話は、今でも鮮明に思い出されます。

――WASENDの活動は防災教育や絵本制作など、被災者の体験を代弁するという役割を果たしている側面もあるわけですね。

勝本 そうですね。ただ、私たちが伝えられる相手は1回の授業で30人くらいと範囲は限られているので、これで本当に大丈夫なのかなと思うことがあります。それでも、その30人の子どもたちがまた違う誰かに防災の大切さを伝えてくれれば、その範囲は徐々に広がっていきます。未来のことにはなりますが、そうしてたくさんの人の防災意識が高まっていくことを願って活動を続けていきます。

国内の小学校での授業風景。バトンを渡すような気持ちで取り組んでいる

WASENDがお勧めする防災に役立つサイト・アプリ

首都直下地震をはじめとした災害に対し、東京の地域特性、都市構造、都民のライフスタイルに考慮して作成された網羅的なマニュアル。

救急車到着までの約10分間に119番通報をしながら周囲にSOSを発信できる緊急情報共有アプリ。

言わずと知れたコミュニケーションアプリ。家族の安否確認などの際に、グループ機能や既読表示が役立ちます。

防災に関する問題が一問一答形式で出され、知識を確認しながら読めます。回答結果をユニークなキャラクターで分析するのも面白いです。

Webサイト:早大防災教育支援会WASEND

 

改めて「防災」とは?

「防災」という言葉から、災害を未然に防ぐことが思い浮かぶと思いますが、自然災害の多くは規模も大きく、またいつ起こるかが分かりません。そのため、そうしたことへの対応は行政機関などの大きな組織の問題と考えがちですが、個人の規模で考えると防災は「災害による日常への影響をできるだけ減らす」ことや「自分や家族を守る」ことも意味します。

実際に災害が発生した際には、いろいろなことに考えが巡って頭が混乱してしまうものです。そんなとき思い出して欲しいことは「自助(※)が最優先」ということ。

当然のことのように思われますが、この意識を持つことから、防災の基礎知識を学んだり、身の回りの状況確認をするという行動が始まります。

(※)自助=自分で自分を助けること。自分が助かることで、「共助」のベースになる。自分だけが助かれば           よい、という意味ではないことに注意
共助=家族、企業や地域コミュニティで共に助け合うこと
公助=行政による救助・支援のこと

早稲田大学としての取り組み

早稲田大学大地震対応マニュアル  ※マニュアルは随時見直しをしています。常に最新版を確認しましょう。

早稲田大学で発行している大地震対応マニュアルも、大原則は自助に重きを置いています。地震発生時の行動について、細かいポイントはたくさんありますが、まずは以下の大まかな流れを押さえておきましょう。

早稲田大学大地震対応マニュアル(学生用)より抜粋

各教室には建物別に一時避難場所目安が掲示してあります。災害発生時の余裕を持った行動につなげるためにも、普段自分が使用する教室から行きやすい避難場所がどこであるかを事前に確認しましょう。

災害ステーションと一時避難場所の位置(早稲田キャンパスの例)

映像コンテンツ

CourseN@viでは、早稲田大学を舞台とした設定で、実際の大地震発生を想定した行動を分かりやすい映像コンテンツとして配信しています。一度視聴することで、臨場感を持ってシミュレーションができます。

  • MyWasedaへログイン後、左メニューから「CourseN@vi」を選択。
    科目「新入生スタートアップ講座」から「わせだライフABC」のコンテンツより
    「【本編】大地震発生編」(11分50秒)
    「【本編】火災発生・救命編」(7分43秒)

職員による防災訓練

災害への備えとして、キャンパスごとの定期的な避難訓練(地震・火災)や職員の各種訓練も実施しています。2018年9月3日(月)には防災の日の取り組みとして、消防庁職員やAED業者の指導の下、通報連絡・初期消火・応急救護・AED操作について訓練しました。避難誘導時や避難場所などでは職員の指示を仰ぎましょう。

初期消火(左)、応急救護(中央)、AED(右)の講習を受ける職員の様子

 

緊急用お知らせサイト

早稲田大学に関する通常のトピックスとは区別して、緊急用のお知らせは以下サイトにて通知します。以下のURLをPCやスマートフォンなどの「ブックマーク」へ登録してください。

http://blogs.yahoo.co.jp/waseda_public/ (早稲田大学緊急用お知らせサイト-Yahoo!ブログ)

 

防災グッズ紹介

東日本大震災での被災者の声を生かし、防災の専門家が厳選したグッズを軽量ポーチに詰め込んだものを早稲田大学生協ライフセンター(早稲田キャンパス17号館2階)で販売しています。

 

早稲田大学公認「災害イツモ常時携行パックⅡ」
①高性能ヘッドライト ②緊急用カード型ラジオ ③ウェットティッシュ ④自立式携帯トイレ ⑤薄型ブランケット ⑥大判ハンカチ ⑦ホイッスル ⑧防災マニュアル&緊急連絡ガイド ⑨説明書&ヒント集

 

【次回特集予告】10月15日(月)公開「創立記念特集」

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