Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

ミュージカルサークル「SEIREN」の新たな一面 日常から探る自分の価値

2015年4月30日、早稲田キャンパス近くの南門通り商店街にグランドオープンした「早稲田小劇場どらま館」。これまで多くの団体がその舞台を彩ってきました。早稲田演劇の今をお伝えすべく、公演レビューをお届けします。

【早稲田演劇の今】早稲田小劇場どらま館レビューVol. 11

2018年9月8日(土)~10日(月)

公認サークル「SEIREN」 番外公演『Re:player 〜日常だって演じてる』

撮影:堀川陽子(以下全て)

本作品は、普段はミュージカルを上演している公認サークル「SEIREN」による作品ですが、番外公演ということもありミュージカル的な要素は薄く、タイトルにもあるように「日常を演じた」作品でした。

ミュージカルと対になる用語として、「ストレートプレイ」という用語があります。ストレートプレイとは歌唱を含まない演劇と定義されており、つまりミュージカルでないものと言ってしまっても良いかもしれません。そして、これが一般的にイメージされる演劇です。その中でも1990年代以降に平田オリザさんらに代表される「静かな演劇」においては、本作品に取り上げられる日常を演じる作品が注目されてきました。静かな演劇は日常を、まさに日常的な会話・声量・しぐさで表現しているのに対して、本作品はそれらをベースとしながらも、SEIRENの得意とするミュージカル的な表現手法を用いながら構築されているのが見どころでした。

本作品の中では、日常の風景を舞台上に作り上げているのではなく、日常の中に埋没している自分自身が演じられています。

さらに、パンフレットの演出家あいさつより引用するならば、

 「自分の価値を見出し、評価できるのはやっぱり自分」

のように、その自分自身をどのように捉えていくべきかという、本作品を通じてのテーマが示されているのです。

しかしながら、この自分の価値、そして評価というのが端的であるからこそ難しいのです。価値を評価する際に用いられる考え方として、「ある」ことが当たり前でそれが失われると不満になる当たり前評価、「ない」ことが当たり前でそれが得られると満足する魅力的評価という考え方があります。自分の価値の出発点は当たり前なのか魅力的なのか、果たしてどちらなのでしょうか。

本作品は9本のオムニバス形式の小作品群で構成されています。それぞれの作品の中に登場する彼女は、そのシチュエーションこそ違え、自分が見いだした価値と他者から見た価値のはざまに悩んでいる姿として描かれています。突き付けられた今という日常を描いた作品であり、その中に全ての答えがあるわけでもありません。それこそ、私たちが生きている日常と同じなのです。

前述したように、本作品を演じた彼女たちが見いだす価値は、当たり前であったのか、魅力的であったのか、まさにそれを決めるのは自分です。そして自分の価値を築き上げた彼女たちの次の作品を、彼女たちの得意のミュージカルで観ることを楽しみにして待ちたいと思います。

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