Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

勉強は体を動かす

動きたい、それをやりたい、なのに体が動かない。そんな経験がある。そんなときはたいてい「どうしても体がいうことをきかない」とまるで他人事のように自分の「体」に責任転嫁してきた。例えば10代の頃は電車やバスで席を譲れなかった。譲るべき相手に席を譲りたいと思っても実際に立ち上がることができず、すっと立って「どうぞ」と言える人になりたいと思っていた。そんな私がいつの間にか席を譲れる人になった。だが「席を譲るトレーニング」などしていない。やっているのは頭を使うトレーニングだ。勉強するにつれて頭と体が連動するようになり、「体」のせいにできなくなった。かつてできなかったたくさんのことができるようになった。「体」が動かなかった原因は、勉強をしていなかったから、知り考えることが圧倒的に少なすぎたからだと実感するようになった。

勉強すると頭がよくなる、知識が増える、だけではない。むしろ大事なのは、知識が増えて、考えていなかったことが考えられるようになり、その結果、できなかったことができるようになることだと思う。その意味で、勉強することは体を動かすことだ。「運動」ではなく、「行動」するという意味で。勉強は人間の振る舞いを変える。ベストセラーになった千葉雅也『勉強の哲学』(文藝春秋、2017)が示したように、勉強は自己破壊し変身する、変身し続ける体系的な方法の一つなのだ。

勉強は大学生でなくてもできるが、大学生は特権的に勉強ができる。動きたいのに動けない自分を変えたい、可能性の前に自らをさらしたいと思う人に、「深い」勉強をおすすめする。

(IC)

第1023回

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