Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

お茶・器を楽しむ 研究室「山西カフェ」で生まれる語り合い

 

研究室で学生にお茶を振る舞う山西教授(写真奥)

文学学術院教授 山西 優二(やまにし・ゆうじ)

早稲田大学文学学術院教授、日本国際理解教育学会理事、多文化社会専門職機構副代表、かながわ開発教育センター代表理事、逗子市社会福祉協議会福祉教育チーム委員など。専門は国際教育論、開発教育論、共生社会論。お茶、アート、ことば、色などの多様なアプローチから、「学校」の枠を越えた多様な学びそして共生の文化をもっとつくり出したいと思っている。

私は、お茶を楽しむことが大好きである。お茶の味、お茶が身体に入ったときの身体の反応、お茶をしている時のゆったりとした時間、そしてそこでの語り合いと自己省察が好きである。

いろいろなお茶を求めて旅することもある。台湾の梨山・阿里山などの高山茶、ダージリンのマカイバリ農園の紅茶、沖縄ヤンバルの国産コーヒー、高知のりぐり茶、といった具合に国内外を旅している。またこれらのお茶を口に運ぶための器・焼き物も大好きである。高校2年生の時、山口の萩を1人で旅していたとき、ある窯元を訪れた際、若者よよく来たと歓迎され、陶工から萩焼のおもしろさを教えられてからは、焼き物に魅せられ、国内外どこを旅していても、器・焼き物を楽しむことを常にしている。

そんなこともあり、私のまわりにはいろいろなお茶・器が集まり、大学の研究室は「山西カフェ」と呼ばれている。きちんと数えたことはないが、常時、50~100種類ほどのお茶がある。私の研究室を訪れる学生、卒業生、実践研究仲間たちは、席に着くと、「今日はどんなお茶にする」との問いにまず答えることになる。「ほっとしたお茶」と答えるとたとえば加賀棒茶、「すっきりとした香りのお茶」と答えるとたとえば清香鉄観音、「甘みのあるお茶」と答えるとたとえば台湾高山紅茶、「変わったお茶」と答えるとたとえば私の家に生えた野草で手作りしたスギナ茶、といった具合である。そしてお茶が決まると、そのお茶に合わせて、50客ほどある器の中から器が選ばれ、その器でお茶がサーブされることになる。「私の器」を常連のように決めている学生もいる。

移動式カフェ(右)と研究室に保管してあるお茶

院ゼミでは、毎週「移動式カフェ」と呼ばれているワゴンでお茶・器がゼミ室へ運ばれ、ゼミの議論中、私がお茶をサーブすることになる。3年ほど前にゼミ卒業生の大同窓会が開かれ100名を超える過去20年間ほどの卒業生が集ったときも、私はいろんな話をしつつもモクモクと何種類かのお茶をお菓子に合わせて100人分サーブしたが、さすがにその時は大変だった。

研究室にある多くの茶器の一部(写真左)と、卒業生ゼミが自費出版した物語本(写真右)。表紙絵や挿絵も卒業生が描いた

またカフェをテーマにした物語本も生まれている。9年ほど前に卒業した学部ゼミ生を中心にした卒業生ゼミが毎月もしくは2カ月に1回の割合で過去9年間続いていて、私はお茶をサーブし続けているが、そのカフェ的雰囲気をヒントに『かふぇ風と土~幸せをめぐる12の旅~』という物語本をYAMAZEMI BUNKOとして卒業生ゼミが2014年秋に自費出版している。

お茶はいのちをつないでいる。水のないところにいのちは存在しないという。いろんな語り合いを生むいのちをつなぐものとしてのお茶をこれからも楽しみたいと思っている。

本物のカフェのように落ち葉やドングリなどで彩られているテーブル。お茶を飲んで気持ちを落ち着けると、建設的な議論が生まれるという

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