少子化により大学全入学時代といわれて数年、学士を取得することがあたりまえになりつつあることと同時に、修士を取得する者が増加している。その背景には、専門的な知識・技能を身につけるためだけではなく、就職への困難さやモラトリアムの延長なども存在するのが現状である。
そのような中、修士取得のための方法が多様化してきた。学部3年卒業や学部・修士5年一貫修了(4+1)を選択することや、社会人修士での取得などである。ここ最近は、3年卒業や5年一貫修了での取得について、いろいろな場面で利益・不利益を耳にする。利益について簡単に言えば、4年次分の学費を支払わなく進学でき、無駄な時間を過ごすことなく高度な教育を受けることができる。学生や保護者にとっては大変大きなメリットの一つである。
しかし、卒業論文は基礎的な知識を身につけた4年次でないとという声や、修士論文を執筆するには2年はかかるといったアドバイスを受けたので、このような選択はとらないといった学生さんがちらほら見受けられる。このようなアドバイスをする者は、実際この制度でどのような成果がでるかを想像できないからではないだろうかと思う。筆者は学部3年で退学し修士課程に進学(3+1)、その後博士を取得しているが、特にこのような不利益は感じていない。
修士課程への進学の理由、また学位取得のスタイルは何であれ、所定の高度な教育を受けて修了することにはかわりはない。自分が置かれた環境でベストを尽くすことで解決できる課題である。もし現在上述のようなアドバイスを受けている学生さんがいるのであれば、そのアドバイスも重要ではあるが、今一度自身の将来設計を考えメリット・デメリットを天秤にかけてほしい。
(I)
第1022回