講義中、眠気と戦いながら、何とかノートを取ろうと頑張っていたら、また教授が変なジョークを言って自分でウケている。どうするべきか。答えは簡単、しっかり笑ってあげよう。冷めた反応にどことなく寂しそうな教授を力づけるためではない。自身の心身の健康のためだ。
笑いで免疫力が高まるというようなことは大分前から言われているが、近年の研究によりその効能のメカニズムが分かってきた。人が笑うと脳が活性化し、“善玉”の神経ペプチドと呼ばれる情報伝達物質が無数に作られ、これがNK細胞やB細胞に付着し活性化させる。これらの細胞は体内に侵入したウイルスや細菌、ガン細胞を破壊し、免疫力を高めるのだ。脳への影響は他にもある。エンドルフィンという、モルヒネのように痛みをやわらげたり、幸福感をもたらしたりする、脳内ホルモンの分泌を促す。また、ストレスの多い現代生活では心身の緊迫状態を作り出す交感神経が働いていることが多いが、笑いは逆にリラックスし、回復を促す状態に戻す副交感神経に働きかけ、自律神経のバランスを整えることができる。声を立てて笑えば、楽しい上に肺や腹筋も鍛えられ、いいこと尽くしだ。
あまり面白いことがなかったらどうするのか。これまた答えは簡単。まずは笑顔を作ろう。人は例え作った表情であっても、その表情を作る顔の筋肉の動きなどにより、その感情を体験しやすい、ということが研究により分かっている。楽しいから笑い、また、笑うから楽しくなるのだ。風邪の季節、マスクや乳酸菌も良いが、笑顔で免疫力を高めよう。
(RA)
第1008回