Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

プレゼン原稿の準備に潜む罠

教員という立場上、学生のプレゼンテーション(以下、プレゼン)に接する機会が多い。プレゼンにおいて私が最も大切であると思うことの一つは「原稿を読まずに(手に持たずに)自分の言葉で語る」ということだ。

発表者が原稿を読み始めると、少なくとも私は発表者の話が頭に入らなくなる(話を聞きたいという気持ちが薄れる)。スライドに書いてあることをひたすら読み上げるのも同様だ。書いてあるものを読み上げるだけならば、本か資料を自分で読むことと大差がない。わざわざ自分の時間を割いて発表を聞く意味がないであろう。原稿を準備していることは、事前の準備が良いようにも感じる。本当だろうか。

プレゼンの準備では、自分の話したいことを自分の頭に一度全部入れて(そのときに原稿を書くかどうかは別として)、それを相手に伝わるように、改めて自分の言葉で吐き出していく作業が大事だと思う。この作業なくして、ただ単に原稿を読む練習をしたり、原稿やスライドの手直しをしたりすることは十分な準備とは言えない。原稿が手元になければ、頭が真っ白になったときに何も言えなくなってしまうと心配する人もいるであろう。しかし、その危うさがあるからこそ、人は人の話に耳を傾けるのではないだろうか。単に原稿を暗記しようとすると、一部分が出てこないだけで、何も話せなくなることがある。しかし、自分が自分の言葉で完全に理解したものであれば、言葉が出てこなくなる可能性は低いのではないか。

もちろん、個人の置かれている状況によっては最善の対応は異なる。しかし可能な限り、勇気を持って原稿を捨て、自分の言葉で大いに語りかけるプレゼンをしてもらいたいと私は思う。

(K)

第1006回

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