早稲田大学は、グローバル社会の中で生き残るため、教育・研究の国際化に本気で取り組んでいる。学生にとって身近な国際化とは、在学中に留学したり、早稲田で留学生と触れ合ったりすることだと思う。異なる文化に触れることは、視野を広げることにつながるし、また自身の文化について改めて考える機会となり、知的刺激に富むものだ。
こうした国際交流は、楽しいことばかりではない。異なる言語で自分を表現することは難しいし、また異なる文化的背景から、誤解が生じることも多い。その誤解を解消するためにさらに詳しく説明したつもりが、さらなる誤解を招くことがあり、落ち込むことが多いだろう。
筆者も研究・教育で異なる文化の人々と触れ合う機会が多いため、日々苦労の連続である。良かれと思って頑張ったことが、相手には重荷になり、かえって気を遣わせてしまうことも少なくない。そんな時、いっそのこと慣れ親しんだ環境、心地の良い環境(つまり、comfort zone)に留(とど)まりたくなる。阿吽(あうん)の呼吸で意思疎通ができる仲間と一緒にいる方がずっと楽だからだ。
しかし、快適な環境に安住していては、人間は成長しない。異なる文化や考えを持つ人に揉まれることを通して、自分を鍛えることができるのだと思う。学生時代、どんどん自分の殻を破って、自分とは異なる人と触れ合う機会を積極的に作ったり、異なる文化や国へと飛び込んでいったりして、良い意味で図太くなって欲しい。
(YT)
第1000回