Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

デジタルネイティヴ世代の責任

物心がついたときにはインターネットが普及しており、ソーシャルメディアによって繫(つな)がり合うのが当たり前な世代を、一般に「デジタルネイティヴ」という。在学生はみんな、この世代に含まれるだろう。しかし、最近のメディア研究は、この「世代」の実態はそれほど単純ではないことを教えてくれる。例えば「若者は、幼いときから築いてきた人間関係にソーシャルメディアの人間関係を重ねるようになったころに<流行していたアプリ>に強い影響を受けて、その後の人間関係・世界観を形成する」、という研究結果もある。裏返せば、自分はデジタルネイティヴだから、と高をくくっていると、いつの間にか「若いのに時代遅れ」になっている、なんてことも起こりうるのだ。

現代の私たちの社会は、異なる意見を持つひとへの不寛容さを増し続けている。誰もが正義を主張し、他者のもつ合理性を非合理と断じる。この混乱をもたらした要因の一つは、やはりソーシャルメディアだろう。しかし新しいメディアが普及しても、社会がそのメディアとの付き合い方に「慣れる」には、一世代・30年くらいかかると歴史は物語っている。皆がスマホを持ち、繫がりあうようになってから、まだ10年くらいしか経(た)っていない。先の経験則に従えば、私たちの社会がもたらされた変化に「慣れ」、新しいメディアとの成熟した付き合い方を会得するまで、あと20年はかかるのかもしれない。本当の意味で「デジタルネイティヴな社会」の実現に向け、私たちはそれぞれが、繫がりうる人たちへの寛容さを調律し続ける責任を負っている。

(M.T)

第988回

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