Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

悪意が微塵もない差別発言

ゼミを終え、学生と帰宅途中、一人の学生が「先生、今日の晩御飯、献立決めています?」と尋ね、「先生、俺にも晩御飯作って下さいよ」と他の学生が言ってきた。

ゼミが始まる前、学生たちが就職について話をしていた。「専業主夫だけは避けたいよな」「そんなことしたら親泣くよな」と冗談交じりに笑っていた。

学生が「親に先生の写真見せたら『大学の先生というより小学校低学年の先生って感じね』だって」と無邪気に言い、「先生、若く見えるってことですよ。よかったですね」と他の学生が言っていた。

ここまで読み、多くの方は私が女性教員であることに気付いたのではなかろうか。ところで、皆さんは、これらの発言が差別的であることをご存じだろうか。

男性教員に対して「今日の献立何ですか? 俺にもご飯作って下さいよ」と言うだろうか。専業主婦は親が泣くほど恥ずかしいことだろうか。小学校低学年の先生は若い女性に「でも」できる職業であり、大学の先生は年齢を重ねた男性に「しか」できない職業なのだろうか。

さらに共通するのは、発言している学生たちに悪意は微塵(みじん)もないことである。そんな中「その発言はね、とても差別的だと捉えられるのだよ。というのもね…」などと真面目に返してしまうと、「わっ、でた!フェミニスト!!」と冗談で返され、面倒くさがられるのがオチである。どう返答すれば発言の差別性に気付いてもらえるのか、正解が分からず困った顔でヘラヘラする日々。このコラムや授業を通して、意識を変える学生が増えることを祈るばかりである。

(S)

第981回

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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