夏休み前の5~6月、アメリカ各地の大学で卒業式が行われ、各界から著名なスピーカーを招いて、式辞を述べてもらうのが慣例になっている。2011年に他界したスティーブ・ジョブズが、2005年、スタンフォード大学卒業式で行ったスピーチのフレーズ、「ハングリーであれ。愚か者であれ。」(“Stay Hungry. Stay Foolish.”)は、どこかで耳にしたことがあるかも知れない。
今年の卒業式では、どんなスピーチが披露されたのか調べてみると、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏が、カリフォルニア大学バークレー校で行ったものが見つかった。ハーバード大学の経済学部を主席で卒業し、グーグルを経てフェイスブックに移籍した「エリート」であるから、自らの「成功談」を披露したのかと思ったら、1年前、夫の急逝で絶望を体験しながら、そこから立ち直った経験を、人間本来の持つ「回復力」(resilience)に結び付けて、心の底から語った名スピーチだった。
全文がインターネットで手に入るので、ぜひ原文に当たってもらいたいが、下記の1フレーズだけ紹介したい。厳しい言葉でもあるが、大学生活の中で皆さんが「落ち込んだとき…」、何かの力になればうれしい。
あなたという人間の根幹を揺るがすような、厳しい試練と立ち向かっているときにこそ、あなたが「何者であるのか」が決まるのです。何を達成したかだけではなく、逆境をどのように生き抜くのか、によって、あなたという人間が定義されるのです。
シェリル・サンドバーグ氏 カリフォルニア大学バークレー校2016年卒業式でのスピーチより
(SN)
第971回