今年も多くの学生諸君が卒業して社会に旅立ち、そして多くの新入生が早稲田大学の仲間となり、4月から学部生だけで約4万人の早稲田大学生が共に勉強することになります。キャンパスにはこれだけの様々な個性が闊歩(かっぽ)しており、それが昔からの早稲田大学の持ち味となっています。
私が学生だった時も、やはり入学して思ったことの一つは、「色々な人がいるな」でした。今でも鮮明に覚えているのですが、「なんで彼は自分が興味のないこの分野にこんなに興味を持っているのだろう」などと不思議に思ったこともあります。他にも勉強の仕方、普段の考え方など、それこそ千差万別、様々な人とキャンパスで出会ってきました。
考え方や感じ方が人それぞれ違うことは当たり前のことであり、それどころか特に大学教員となった今は多くの個性との出会いが、かけがえのない経験となっていると分かります。研究をするときは一つのものを、時に一カ所から集中して、時に色々な角度から見る必要があるからです。これはきっと研究だけに限らないことでしょう。「多様性は可能性」などとも思っています。
もちろん、気の合う友人となった人がいる一方で、正直に言って苦手な人もいます。特に疲れていると、なるべく自分とは違う相手を遠ざけてしまいたくなります。多様性はしばしば面倒なものです。そのような状態は自分の余裕のなさを如実に表しています。
今、若い学生の皆さんには、是非、多様性を楽しんでほしいと思います。きっと皆さんの学生生活を実り多いものにしてくれることでしょう。
(K)
第967回