Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

シドニー・オペラハウス

春学期の近代建築デザイン論という授業の題材にするために、昨年3月にシドニー・オペラハウス(オーストラリア)を見に行った。国際コンペでデンマークの建築家ヨーン・ウッツォンが勝利したのは1957年のことだが、今見ても古さを感じないどころか今もって現代建築の最高峰である。

シドニー・オペラハウス一つ見るのに私は5日間を費やした。一つの建築物を自分なりに頭と体で理解するためにはそれなりに時間がかかる。シドニー・オペラハウスのコンサートホール棟とオペラハウス棟で約23 度角度が振れていることによって屋外仕上げのタイル面の反射の仕方が異なること、また雨が降ってきたとき、タイル面を雨水がどのように流れるのか自分の目で確かめたり、海側のホワイエ階段部分でコンサートが始まる前の指揮者によるトークというのはどのような空気感なのか、各ホールの音響や視界、プレキャストコンクリートの質の高さといったことなど関心事は無数にある。建築物を頭と体で理解する感覚は大学3年生のころ、図面を片手に建築を見に行く日々の中で身に付けた。

さてウッツォンが、極めて複雑な建築造形を実現する方法として一つの球体から切り出すという幾何学的アイデアに気が付いたのは、実にコンペ提出から4年後の1961年であった。合理的建設方法が見つからず、半ば諦めかけてシェル模型を入れ子に重ねるように片付けているときに、ふと気が付いた。

私たちも重要なプロジェクトで、もうダメかと諦めそうになっても、そんなときこそ素晴らしい発見ができるかもしれないと、これを教訓にしたい。

(TH)

第960回

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