現在流れているTVCMで、いい「飲みっぷり」をご披露いただいている、サッポロビール社長の岩間辰志さん。カルチャー・トーク初の実業界から後輩へのメッセージ。終了後は、会場の外で待ち構えていた学生が、まっさらのTシャツにサインを求める姿も。
「『万事塞翁が馬』は中国の故事からとられた言葉です。人生には、幸せなこと、不幸なことがいろいろと巡ってくる。その時にどういう対処をするか、ということだと思うんです。仕事にも人生にも、それに対するスタンスをはっきり決めておかなくてはならない。自分の信条のもとに最善を尽くすことが重要なんです」 「私の信条は『忠恕(ちゅうじょ)』でありまして、自分に正しく偽らず、相手の立場に立ってみる思いやりのことです。やせ我慢もひっくるめて、自分の選択の結果は、すべて自分の責任として引き受ける、私はそういうつもりで物事の解決に当たろうとしてきました」 「作家の城山三郎さんが『人生の成功は、どこまでいったかではなく、どんな旅をしたか、いかに深く生きたか、ではないでしょうか。企業にとっても功利的で目先の仕事だけをこなす人間よりも、厚手で、魅力的な人間が必要なはずです』というようなことをおっしゃっています。まさに名言で、私の『学生時代にやっておいてほしいこと』はそのまま、『企業が求める人材』に繋がります。学生時代は、通常の学問のみならず、社会を、人間を、しっかりと学んでください。今後の長い人生を生きていくための、土台を作り、どんな変化にも対応できる幅広さを、身につけていただきたい。その努力を持続していくことが、人生をエキサイティングにするんです」
「二十一世紀の日本は、課題を持ち越しています。一つの鍵は、公(パブリック)という土台をもう一度見直してみることではないでしょうか」
最近感動したエピソードとして、結核によって退学してから五十年後に卒業と大学院進学を果たした松井求さんの話を紹介したあと、「早稲田の学生として、矜持を持って、その責任を果たしてほしい」と締めくくった。