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早稲田に3年留学 よしもとタイ社長「自分だけの領域を見つけて」【2018年度卒業記念号】

「人と人とのつながりが自分の強みを見いだすきっかけになる」

吉本興業カンパニー よしもとエンタテイメント(タイランド)代表取締役社長 ウイム・マノーピモーク

日本を代表するエンターテインメント企業である吉本興業。その海外拠点の一つ、「よしもとエンタテイメント(タイランド)」の代表を務めるタイ人事業家、ウイム・マノーピモークさんは、早稲田大学大学院の修了生だ。留学先に数ある大学から早稲田を選んだ理由、そして修了後の活躍の背景には、「人と人のつながり」を大切にしてきたからこその物語があった。

タイ帰国後も影響力があった、日本の漫画やアイドル文化

タイでのタレントマネジメントやコンテンツ制作、タイ人に向けて日本各地の物産展を企画立案するなど、日本とタイを行き来して忙しい日々を過ごすウイムさん。流ちょうに操る日本語は、少年時代、東京都台東区に住んでいた頃に身に付けたものだ。

「父の仕事の関係で小学4年生まで日本の学校に通いました。だから、日本の漫画やプロレス、アイドルを見て育ったんです」

そんな日本文化の知識と素養が、タイに帰国後、大いに役立ったという。

「漫画をはじめ、日本文化はタイで人気があり、よく友人から『この漫画を訳して』と頼まれていました。その過程でホームシックというか、また日本で生活したいと思ったのが留学を決めた一つの要因でした」

大学院生時代のウイムさん(右から2人目。写真提供:本人)

もう一度、日本へ。その思いから国費留学生制度に申し込み、来日が決まったウイムさん。当時のタイでは、留学先の一番人気は慶應義塾大学だったというが、ウイムさんは迷わず早稲田大学の大学院を選んだ。

「みんなと同じところに行っても面白くないというのが一つの理由。もう一つは、僕の小学校時代の幼なじみが早稲田に通っていたんです。当時はメールの普及前だったので文通したり、彼が早稲田の友人を連れてタイに来てくれたりと交流が続いていました。その彼が商学部だったので、商学研究科の先生を紹介してもらいました」

留学期間は3年。「環境経営」をテーマに研究を重ねたウイムさんには、他にもう一つ、大切にしていたテーマがあった。

「人と人とのつながりを増やしたいと日々行動していました。時には父の事業を手伝いながら、また時には幼なじみや学部生たちとも遊びながら、いろんな人に出会わせてもらった3年間だったと思います」

“自分にしかできない領域”でビジネスを作っていきたい

大学院修了後、ウイムさんはタイに戻らずに日本で就職する道を選んだ。

「せっかく日本にいるんだから日本の企業に就職したいと思っていたところ、学内の掲示板で、タイと台湾出身者の求人を見つけたんです。僕は父がタイで母が台湾のハーフ。『おぉ、これって自分のことでしょ!?』と、その会社に応募しました」

こうして入社したアイリスオーヤマでは貿易部に配属され、タイにある工場からの仕入れの一切を引き受けることになった。

「貿易部と言っても、当初、タイはもちろん、中国、台湾、中華圏を除く海外からの買い付け担当は僕一人。英語もできるからという理由で、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパまで担当していました。2000年に退職したんですけど、99年には一人で30億円くらいタイから買い付けていましたね」

順風だった日本での会社員生活。それでも、30歳を前にタイに戻る決断をした。

「そろそろ故郷のタイでコネクションやネットワークを駆使して、自分だけのビジネスを広げたいと思ったのがきっかけです」

タイに帰国後、父の会社を受け継ぎながらさらにビジネス領域を広げていったウイムさん。その一つが吉本興業のコンサルタント。業務提携を経て2012年に合弁会社を設立し、代表取締役社長に就任した。

今年3月にバンコクで行われた、タイ住みます芸人のライブ「サワディー花月」の告知。隣国のミャンマー住みます芸人も出演した〔提供:よしもとエンタテイメント(タイランド)〕

「僕のコンサルのやり方は、全部を通訳するのではなく、お互いの聞きたいこと・知りたいことを聞かせ合って双方の商売がうまくいくようにすること。通訳をするだけなら僕じゃなくてもできるかもしれませんが、吉本の事業と日本文化については僕以上に知る人はそうはいないはず。僕は、“自分にしかできない領域”でどんどんビジネスを作っていきたい。そうすれば本当に日本とタイの架け橋になれると思っています」

卒業生にも、この「自分だけの領域」を見つけることの意義を伝えたいという。

「自分がやろうとすること、得意分野のクリエーティブな部分、差別化ができる部分を見つけることに勝機があります。そのためには、人と人とのつながりを大事にして、いろいろな人の話を聞くこと。そこで生まれたアイデアを自分の強みとして伸ばしていけるような人間になってほしいですね」

よしもとタイ所属アイドル「Sweat16!」と共に出席した番組イベントにて〔写真提供:よしもとエンタテイメント(タイランド)〕

取材・文=オグマナオト
撮影=時永大吾

【プロフィール】

1971年、タイ生まれ。父の起業に伴い4歳で日本へ移住。東京都台東区の小学校に通う。その後、米国留学を経てタイに戻ったが、1994年、再び来日して早稲田大学大学院商学研究科に入学。修了後はアイリスオーヤマを経て、2000年にタイに帰国。貿易、コンサルタントなど幅広く活動を展開している。現在、よしもとエンタテイメント(タイランド)代表取締役社長。

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