駅伝シーズン到来! 10日には出雲全日本大学選抜駅伝が開催され、十1月1日の第30回全日本大学駅伝、1月2日、3日の第75回箱根駅伝と、大きな大会が目白押しである。
現在、本学競走部には約80人の部員が在籍している。そのうち、長距離を走る選手は50人弱。まだ夏の面影が残る9月初旬、競走部ヘッドコーチ遠藤司氏(86年教育卒)に、選手の練習内容や箱根駅伝についてお話を伺った。
「年明け早々に行われた前回の箱根駅伝、本学の順位は往路3位、復路10位の総合6位。レース近くの時期に故障者が出たりして、チームとしては万全の状態ではなかったし、力を出しきれなかった選手もいたので、順位としては妥当なところだったのかもしれません」と遠藤コーチは語る。その日から8カ月、来たるべきシーズンに向けて弛まぬ努力を積み重ねてきた。
「選手の練習内容は選手1人ひとりのコンディションによっても違うのですが、頑張って長い距離を走る日と休む日とがあります。ただし、休みといってもただ寝ていても疲れは取れないので走りながら休むんです。総体的には1日2、30kは走っているんじゃないでしょうか」。1日2、30kと聞くと驚くばかりだが、さらに驚く事実が明らかになる。「レースから遠い時期に行われる合宿では、1日60kくらい走りますよ」
現在は箱根駅伝にベストの状態で臨めるように練習をしているところだそうだ。「箱根に照準を合わせると、それまでのレースにはある程度疲れさせた状態で出場することになるんです。そのことによって、“自分はこんなに疲れた状態でも、このタイムでは走れるんだ”という最低ラインの目安ができる。それが自信を持って走ることに繋がるんです。また、今年の夏には箱根の山対策として、秋田で行われた鳥海高原駅伝に初出場しました。登り3区間、下り2区間と全部がアップダウンのあるコースで、箱根の適性を図るのにはいい機会だと考え、3チームを出場させました」
最近の箱根駅伝は以前とは違い、1区からエース級の選手が起用され、序盤から先頭集団の流れに乗ってレースを進めないと勝てないという。「去年の結果を考えると、そのような展開でレースを進めるにはコマ不足だったと言えるかもしれません。駅伝は個人の勝負ではなく、10区間のトータルで勝敗が決まりますから、その日の状態を早く判断して各人が100%の力を発揮してきっちり走りきることが大切。自分のペースを乱して無理に前を追いかけたりするととんでもない結果になる場合があります。そうならないためにも自分のコンディションを把握しながら毎日の練習を積んでいくことが重要です」。やはり箱根の長丁場は一朝一夕の努力では制覇することは難しい。食事についても「大事なレース前の一定期間は、調整のための非常に大切な期間ですから『なま物』を食べるな、とかの注意はします。当日は各自走る4時間前位に、多少消化の良いものを食べるようにしています」。
「本学では選手1人ひとりが目的意識を持って練習やレースに取り組んでいます。どんな練習をするにしても、その日の練習メニューをただ消化するという姿勢では伸びません。“やらされている”ではなく、“目的を持って自ら取り組む”という姿勢の選手が伸びるのです」。毎日の練習を見ていると選手の姿勢や精神状態が自然に分かると言う。
「早稲田の駅伝の魅力はいろいろな人間がいることだと思います。高校時代に活躍した選手もいれば、一般入試組で実績のない選手もいる。実績も考え方も違った人間の集まりの中で練習や生活を共にすることで人間の幅を大きくさせてくれることではないでしょうか。ことしの箱根も下馬評は低いと思います。でも、私としてはそこそこ戦えると思っていますし、そうしたいと日夜努力しています。夏合宿を越え秋のシーズンを迎えると、下級生の中から大きく成長する選手がでてきます。主将以下、四年生が一体となってチームを引っ張ってくれています。期待していてください」
エンジのタスキと共に伝統が受け継がれてきた早稲田スポーツ。選手、コーチ、皆が一つになって目標を追いかけている。スポーツの秋、皆さんもぜひ応援にでかけてはいかがだろうか。