Waseda Weekly早稲田ウィークリー

キャリアコンパス

女優 中井貴恵 早稲田は「心のふるさと」

■なかい・きえ

文学部在学中の78年に市川崑監督の映画『女王蜂』のヒロインデビュー、数々の新人賞を受賞。82年、『制覇』で日本アカデミー賞助演女優賞を受賞、以後『人生劇場』、『悲しい気分でジョーク』などに出演。父は俳優の故・佐田啓二、弟は中井貴一という俳優一家。著書に『貴恵ニューイングランド物語』、『父の贈りもの』、『娘から娘へ』、『ピリカコタン~北の大地からのラブレター~』など。

 私は幼稚園から高校まで十四年間ずっと規則づめのカトリック系の女子校で過ごしてきたので、早稲田のケタはずれの自由な雰囲気は、「あっ、ここが私が求めていた場所だ!」という感じでした。日本の全国各地からユニークな学生たちが集まってくる早稲田は、まるでさまざまな日本人像の小地図を見るようで、いろんな人に会うだけで毎日すごく楽しかったですね。大学での四年間は、高校までの十四年間に替え難いぎゅっと煮詰まった充実した四年間でした。ひたすら飲んでテニスやっていただけですけど。新入生の皆さんには、気合の入った飲み方をしてほしいですね(笑)。

三年の春にデビューしましたが、芸能会にすごく入りたくて入ったわけではないので、仕事を始めたときの絶対条件は大学とテニスをやめないということでした。

映画撮影の時には、うまく自然に演技できないのがつらくて、しかも私には「佐田啓二の娘」という期待をかけていることがわかっているので、その期待を裏切るようで申し訳ないと言う気持ちで一杯でした。学生時代は、仕事はつらくて、おもしろくなるまでは至りませんでした。それでもがんばれたのは、父に導かれていた私の運命かなぁとも思います。しかし若くなかったら乗り越えられなかったでしょうね。

現役の学生のインタビューを見たら、「大隈重信って誰っ?」って言ってるんですよ。大隈重信はすごく気合の入った生き方をした人でしょ。あの時代に新しいことを取り入れて学問を育てることは大変なことだったから、死にもの狂いで学校をつくったはずなのに。最近はみんな格好良くなっちゃって、だんだん個性がなくなっているみたいだけど、早稲田には早稲田のカラーがあるんだから、他に迎合してほしくないです。

早稲田は出たけど、私は何もできない、というような人間をつくっては駄目だと思います。ブランドとして大学名が評価されるのではなくて、何でもいいけど何か一つのことがすごくできる人間を育成してほしいです。

新入生の皆さんには、学生生活を楽しんでほしいですね。学生時代の友達は二度とできないから。

母が私の入学式を記念会堂に見に来たときに、校歌のフレーズ「集まり散じて 人は変われど 仰ぐは同じき 理想の光」を聞いて、父も早稲田で学んだことに思いを馳せ、歌詞がすごくしみじみと心に響いたと言っていました。長い月日は過ぎ去っても、人は入れ替わり、また父に続いて私も早稲田で学ぶんだということに感慨無量だったようです。私は東京生まれ東京育ちで、夫とアメリカ、札幌と移り住みましたが、やはり早稲田も札幌とともに私の「心のふるさと」の一つですね。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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