Waseda Weekly早稲田ウィークリー

キャリアコンパス

映画監督 高橋伴明 ちゃんと勉強してほしい

■たかはし・ばんめい

49年、奈良市生まれ。第二文学部中退。82年に「TATTOO(刺青)あり」を監督、ヨコハマ映画祭監督賞を受賞。以後、脚本・演出・プロデュースと幅広く活躍中。代表作に「獅子王たちの夏」「迅雷―組長の身代金―」など。

高二のときに死んだ親父が、何となく早稲田が好きなようなことを言っていてね。早稲田は「男っぽい」という感じはしていたかな。

俺が入ったときはもう学生運動が始まってて、麻雀も好きだったけどそれよりデモ行ったほうがいいかなという気分で、入学と同時に運動の方に入っちゃったという感じ。だから授業出てない。映研の先輩が、映画の助監督のアルバイトしてて、その後釜に指名されて五月から現場に出てたんだよね。だからクラスメイトがどうとか一切なかったし、映研や運動の先輩連中との付き合いだけだった。それで俺また早々と捕まっちゃったんだよ。都合半年くらい留置所と府中にいたんだけど、出てきたらもう収まってるというのか、俺の中では(運動は)もう終わってるような感じがしちゃって。

運動では、死にそうな思い何回かしたな。俺はね、イデオロギーがあってやってた訳じゃないけど、捕まって殴られたりすると、やっぱり「この野郎」とは思うよねえ。そうすると対個人じゃなくてそのセクトに対してこの野郎と思い始める。やられたらやり返すじゃないけれども、その積み重ねで自分もそういう気分になってた。ただその中で、こういう男もいいよなっていう、男が男に惚れるような「人物」が何人かいて、それはいまだに付き合いがある。

早稲田に対しては、短い期間だったけれども、こういう「不良」を許容してくれた時間というのはあった訳で、そのことに関しては感謝してる。映画や本を作る上で、人物のキャラクターであったり一つのセリフであったり、敵を設定する。「このセリフは、この人物は、俺にとって敵だ」という意識が、結構映画を作っていく上でのエネルギーになったと思うんだよね。それはやっぱり早稲田時代に培われたものだと思う。それを「反骨精神」というとカッコ良すぎるけどね。

小説「人生劇場」のイメージっていうのは俺の頭の中にもやっぱりあったね。だから早稲田だったんだろうな。まあ「人生劇場」のようになれたら楽しいなあ、とは思ってる。知り合いにも「『人生劇場』みたいな映画作れよ」とかよく言われるし。俺よく「ホモ映画」って自分では言っちゃうんだけど、男同志の話がメインの方が好きなんだよね。男同志でわかり合えるような。「友情」なんて言うともの凄く恥ずかしいけど。

今の若い人たちを見てると、「ちゃんと感動してんのかなあ」っていう気がする。だから、オウムとか、例えば「脳内革命」がベストセラーになったり、ああいう異物に対して凄く弱いというか、異物がポッと出てくるとそこにヒュッと集まるようなね。気持ちで、心で、きちんと選択して動くというのがやや希薄のような気がする。流れに沿って行くというか、「こういう流れもあるじゃないか」って流れを変えようとしたり「別の流れを作るぞ」っていうような奴があんまり見えて来ない。抽象的になるけど、映画の題材にしてみたいな、と思うような奴が出てきてほしいよ。

あと、俺唯一損したなあと思うのは、ちゃんと勉強しといたらよかったなあっていう。あれだけその気になったら勉強できる環境ってないよ。だからちゃんと勉強してほしいね。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる