感性工学の手法を用いて 笑顔の力を解説する
人間科学学術院 教授 宮崎 正己(みやざき・まさみ)
1951 年東京都生まれ。1978 年日本体育大学大学院体育学研究科修士課程修了(体育学)。埼玉医科大学博士課程修了(医学)。早稲田大学体育局助教授、同大学人間科学部助教授を経て、1994 年4 月より現職。専門は生体機能測定学。
人間科学学術院 非常勤講師 菅原 徹(すがはら・とおる)
1976年福岡県生まれ。信州大学大学院工学系研究科生物機能工学専攻修了、博士(工学)。早稲田大学人間科学学術院助手、人間総合科学大学人間科学部助教を経て現職。エクステンションセンター講師。専門は人間環境デザイン心理学。
>>「好印象を与える笑顔とは?」 はこちら
ワークショップ メイク編
何気ない笑顔を引き立てるメイクができていますか?
菅原講師は、笑顔が顔を美しく彩るメイクだと考えている。菅原講師が笑顔の研究を進める中で、メイクをする機会が多い女性が、自分のどんな表情を引き立たせるためにメイクをしているかに疑問を持ったという。そして現在、スタイルプレゼンターでありワコール販促アドバイザーでもある山口遊子氏とともに、メイクの研究を進めている。宮崎ゼミに協力してもらい、笑顔とメイクの関係を取材した。
「メイクをするときは、真顔で鏡に向かっていることがほとんどです。すると、どうしても真顔を強調するメイクになります。私たちは、真顔を『縦の認知』が強い顔と表現しています。しかし、人は笑顔になると口が横に広がり、顔全体が横に広がります。つまり『横の認知』が強くなるのです。
日本人は、輪郭が丸く黒目が大きく、鼻が小さいがゆえに、笑顔になると目と口の相対的な位置が近くなり、乳幼児の顔に似ます。つまり、笑顔になるだけで若く見える。その視覚優位性を邪魔しないメイクが大切です」(菅原講師)
今回、宮崎ゼミの学生にモデルとなってもらい、普段のメイクと山口氏が手を加えた「笑顔(ほほ笑み)を引き立たせるメイク」とを比較してみた。
他のゼミ生にどちらが魅力的かを聞いたところ、上は「おとなしく見える」「各パーツがぼやけて見えて、もったいない」という声が上がった。
一方下は「華やかな笑顔が印象的」「パーツがくっきりと見えて、顔立ちが引き締まって見える」という意見になり、下の写真のほうが笑顔の印象を強く感じる結果となった。
笑顔を引き立たせるメイクをすることで、笑顔の印象が強まったのはもちろんだが、美しさや華やかさ、目の大きさや顔の締まり具合まで変わって見えた。
良い笑顔をするとともに、メイクによっても笑顔はさらに美しくなる。
[メイクを教えてくれた人] 山口 遊子(やまぐち・ゆうこ)
元ミスユニバース日本代表。パリコレクションなど、国内外でモデルとして活躍。引退後、スタイルプレゼンターとして活動を開始し、2014 年から早稲田大学人間科学部宮崎研究室とメイクリアップ研究を開始。
【宮崎研究室】ゼミ生は3・4 年生合わせて20 ~25 人。楽しさや美しさなど、あらゆる製品の付加価値となる「感性価値」を追究するゼミ。自分だけでなく仲間の感性も重要になる研究のため、ゼミ生同士で密にコミュニケーションを重ねている。
(『新鐘』No.82掲載記事より)