苦しい受験勉強を経て、晴れて合格。憧れのキャンパス。大学で自分の好きな勉強や活動に思う存分打ち込み、充実した生活を謳歌(おうか)している学生がたくさんいる。
その一方で新しい環境に戸惑い、どうしていいか分からず、周りはみんな楽しそうなのに自分だけひとりぼっち…と焦りを感じている学生も多いという。かく言う私もかつてはそんな一人だった。社会人になった今、当時の自分にはこうアドバイスしたい。
一人のときがあってもいいじゃないか。一人だからこそ、周りに気兼ねなく好きなことに時間をたっぷり使える。好きな本を読める。そういう時間も楽しんでほしい。人は好きなことをしているとき、何か目標に向かっているときに一番輝くもの。気の合う仲間はいずれできる。
とはいえ、好きなことも趣味もない、研究テーマも見つからないと悩んでいる場合はどうすればいいのか? あてもなくぶらっと歩いてみよう。気の向くままに歩きながら、目に入ってくるもの、頭に浮かんでくることを感じてみよう。たくさんの「しなきゃいけないこと」を忘れて、自然に頭に浮かぶこと、ふとしたときに「なぜだろう?」と疑問に思うことを追及してみよう。実はそこに自分の興味や研究テーマ、あなた自身の魅力が隠れているのかもしれない。
あてもなく気の向くままに考えごとができるのも、大学時代だからこそできること。社会人になったら一人の時間を持ちたくてもなかなか持てるものじゃない。一人の時間も時にはいいものである。自分自身と向き合う良い機会になるのだから。
(S)
第972回