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身近な「ものさし」で見る宇宙【大人の大学】

特集:WASEDA's Global Campuses

  • #キャンパスナウ
  • #教育

Fri 31 Jul 26

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Fri 31 Jul 26

イラスト:なかむら葉子

イラスト:なかむら葉子

早稲田大学では、 学位課程以外にも目的やライフスタイルに合わせた教育プログラムを提供中です。歴史や文化、芸術、科学、ビジネス、外国語など、さまざまなジャンルの講座を、幅広い皆さまに公開しています。

今回は早稲田大学エクステンションセンターが開講するオープンカレッジにて展開している講座「身近な『ものさし』で見る宇宙」の一部をご紹介します。

自然界の現象や法則を表す基本単位は、宇宙ではどのように機能するのか。「長さ」の概念を改めて理解し、宇宙空間の距離を測っていきましょう。

「1メートル」は誰が何を基準に決めたのか

私たちが生活のさまざまな場面で用いる、単位。1キログラム、5メートル、10分間と聞くと、誰もが同じ重さや長さ、時間をイメージできます。この基準はいつ、どのように生まれたのでしょうか。

世界の各地では、それぞれ独自の単位系を使っていました。英米の「ヤードポンド法」や日本の「尺貫法」など、その地域に根差した数え方です。しかし地域ごとに単位がバラバラでは、商売や科学の領域で混乱が生じます。そこで18世紀末、グローバル化が進む中、フランスが中心となり、新たな単位系が創設されました。

誰でもどこでも同じ基準で測れる単位を目指し、まずは長さの「メートル」が定義されます。赤道から北極までの距離の一千万分の1を1メートルとし、基準となる白金製の原器が長らく使用されました。

しかし金属であることから、温度などの影響を受け多少の誤差が生じます。より精密な基準のために、クリプトンという原子の波長をもとに長さが規定されましたが、さらに精度の良い時間と合わせるため、一定の時間に光が真空中を進む距離として1メートルが定義されました。

あの星までどのくらい?宇宙での距離の測り方

では、いよいよスケールを拡大し、宇宙空間での長さについて見ていきましょう。メートルを基本としますが、数字が大きすぎてそのままでは不便です。宇宙科学の世界でよく使われる単位として、「天文単位」「光年」「パーセク」があります。

地球と太陽の平均的距離である1天文単位は、約1.5億キロメートル。1auとも表記されます。1光年(ly) は、光が1年間に進む距離で、約9.46兆キロメートル。1パーセク(pc)は、「年周視差」が1秒角(1/3600度)となる距離を表します。

年周視差とは、地球の公転運動のために時期によって天体の位置が変化して見える現象、およびその角度のこと。距離が近ければ角度は大きくなり、一年を通してほとんど位置が変わらないように見える天体ほど、地球から遠いです。

この年周視差がちょうど1秒角になる時の天体との距離を、1パーセクとしています。1パーセクは3.26光年ほどで、光年とパーセクは約3倍程度しか変わらず、どちらを使用してもさほど問題はありません。観測者にとって便利であるため、天文学の分野ではパーセクで表すのが長年の慣例です。

実際に天体との距離を計測する方法はいくつかあります。比較的地球から近い天体は、年周視差を用いた三角測量で求められます。レーザー光を利用し、反射した光が戻ってくる時間から計算することも可能です。

他方、年周視差やレーザー光をほとんど確認できない遠方の天体については、「標準光源」と呼ばれる既に絶対光度がわかっている天体と、外見上の明るさを比較して算出します。暗くなるほど、遠い距離にあるというわけです。

他にもさまざまな計測方法がありますが、それぞれに限界もあります。前述した異なる手法をつないで遠い天体の距離を測る「宇宙の距離はしご」が用いられるなど、宇宙の果てを知るために、現在も研究が積み重ねられているのです。

PROFILE

早稲田大学名誉教授 前田恵一

1950年大阪生まれ。理学博士(京都大学)。東京大学理学部物理学科助手、早稲田大学物理学科教授、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジおよびクレアホール客員教授、京都大学基礎物理学研究所特任教授などを歴任。専門分野は、理論宇宙物理学および重力理論。著書に『演習形式で学ぶ特殊相対性理論』(サイエンス社)、『演習形式で学ぶ一般相対性理論』(同)、『重力理論講義』(同)など。

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