Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

LGBT当事者として登壇して

文学部 2年
とも

私が「ICCトーク・セッション: 21世紀のLGBTを考える」に参加したきっかけは、私が所属している団体にICCから協力依頼があったことです。私は心と体の性が一致していないトランスジェンダーです。女性の身体で生まれてきたのですが、自分のことを男性であると自認しています。現在は「LGBTを含めた全てのこどもがありのままでオトナになれる社会」を目指して発信活動を行う、早稲田大学の学生団体でありNPO法人団体でもあるReBitという団体に所属しています。そのReBitにICCからメールが届いたことが始まりでした。

正直、当事者としてICCのイベントで話そうと決めるまでに、全く悩まなかったと言ったら嘘になります。現在、私は周りに自分がトランスジェンダーであることを進んではカミングアウトしておらず、クラスの友達は私のことをいわゆる“ふつう”の男子生徒として認識しています。もしこの依頼を受けてしまったら、私のセクシュアリティが私の意思とは離れたところで友達に、これから出会う人に伝わってしまうのではないかと少し不安でした。自分がセクシュアルマイノリティであることを特段マイナスにも思ってはいないのですが、やはり世間の反応からみて、カミングアウトすることは少し怖いというのが正直なところです。

しかし、ICCスタッフの方々のこの企画に対する気持ちを聞いて、出ようと決めました。「ひとりの親としてもLGBT問題に取り組みたい」「ICCをセーフゾーンにしたい」などなど、誰かが、それも大学の公式機関がLGBT問題にこんなにも想いをもって取り組んでくれているということが、私にとってはとても感動的なことでした。いま早稲田大学に通っている、あるいはこれから通う当事者が、少しでも通いやすい大学にする手伝いが私にできるのならぜひ携わってみたいなと素直に思いました。

当日はLGBT当事者のメンバーとふたりで伺って、今まで私たちがどのように過ごしてきたかをライフヒストリーという形でお話させていただきました。自分のセクシュアリティに気づいたときどう思ったか、家族・友達にはカミングアウトしているのか、どんなときに困るのかなどをお話しました。話しているとき、来場者の皆さんが身を乗り出すように話を聞いてくださったり、笑うところでは笑ってくださったり、形としては一方的に体験談を話すという感じだったのですが、会場全体でコミュニケーションをとっているというような感覚でした。登壇後のカフェブースタイムでは何人もの人が話しに来てくださいました。カミングアウトしたときどのような反応をされるとうれしいか、就活についてどう思うかなどの質問を多く頂き、また「LGBTって遠い存在だと思っていたけど身近に感じられました」「もっと知りたいと思いました」といったうれしい言葉もたくさんかけていただきました。こんなに反応があるとは思っていなかったので驚きました。LGBTの人は13人に1人いると言われています。しかしカミングアウトしたくてもできない環境が多く存在することもあり、なかなかその存在は可視化されません。まだまだテレビの中の存在だと思われているなと私自身日々過ごしている中で感じることが多いので、今回LGBTを身近に感じてもらえたことはとてもうれしかったです。話せてよかったと思いました。当日は私たちの他にもアムネスティインターナショナル・ジャパンさんと早稲田vision150で総長賞を受賞したダイバーシティ早稲田さんがスピーカーとしてお話していたのですが、私たち含め皆異なる視点からLGBTについて話していて聞いていて飽きなかったです。スピーカーとしてだけではなく、一オーディエンスとしてもとても楽しめました。

自分の大学の公式機関で話す機会を頂けたことは自分の中でとても大きな出来事で、この先もおそらく一生忘れはしないと思います。社会が変わり始めているなとドキドキしました。

私は今までなんとなく敷居が高い気がしてICCのイベントに参加したことはなかったのですが、今回参加してみて敷居の低さに驚きました。また興味があるイベントがあればぜひ参加してみたいなと思います。ICCの雰囲気など知れて、一在学生としても、一当事者としても得るものが多いイベントでした。

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